地域おこし協力隊が作成した「壱岐あるある」のチラシに「壱岐では甘い料理が多くてビックリ」と表記されたことについて、一部報道で『多数の住民から「壱岐への侮辱」などと憤りの声が集中した』などと、担当者を個人批判する記事が掲載された。
本紙には1件もなく、その新聞社にだけ声が殺到したようだが、そうだとしたら大変に残念であると同時に、このような記事掲載は、市民として協力隊員に対して慙愧(ざんき)の念に耐えない。
地域おこし協力隊は総務省の地域活性化支援事業。都市圏で生活していた人が壱岐に転入することで人口増加につながり、新たな視点で地域の魅力を再発見することもできる。いままで市民の気が付かなかったことを、どんどんと指摘してもらうことこそ、事業の成功につながるはずだ。
ひきとおしを「甘い」と感じたのは個人の感覚であるし、それが壱岐の特徴だと認識して前向きに宣伝した。ひきとおしには家庭によって違う味付けがあり、甘いもの、甘くないものもある。だが島外、特に九州以外から来た人間にとっては、醤油の甘さですら最初は戸惑うほどだ。「甘い」という表現が「壱岐への侮辱」との批判は理解できない。
またこの報道では、協力隊は国から18万円の給料以外にも家賃、公用車借り上げ代、ガソリン代、出張旅費、研修費などを市が負担している、などと書かれていたが、総務省からの財政支援は隊員1人につき報酬上限200万円、活動費上限200万円が交付されるほか、自治体に対しても募集に係る経費上限200万円が支。市の負担は極めて少ない有利な制度である。
慣れない土地で、壱岐のために頑張っている地域おこし協力隊のメンバーに対して、重箱の隅をつつくような批判をするのではなく、精一杯応援することこそが、壱岐市民にやるべきことで、そんなことはわざわざ指摘しなくても、ほぼすべての市民は十分に判っているに違いない。