社説

「得した」感の価格設定を

syasetsu 壱岐島ごっとり市場プロジェクトの体験メニューを島民にも理解してもらい、改善点などを模索するための「島民体験モニター」が15日から始まった。用意された11種類のメニューの大半は募集定員をオーバーする申し込みがあり、各メニューへの関心の高さは示された。
だがモニターは無料である。観光客が別料金を支払うオプションとして、どれだけ利用するかは別問題だ。9月に募集された「壱岐のうに祭り」チラシに掲載されているオプション体験で、「農業畜産体験」は2400円、うに割り体験は4千円以上、船釣り体験に至っては1万8千円の料金が掲げられている。一家4人で船釣りをしたら7万2千円。農業畜産体験でも1万円弱になってしまう。
消費者はシビアだ。体験型メニューがツアー料金に含まれているのなら純粋に楽しんでくれるが、別料金となるとしっかり計算をする。
農業畜産体験が2400円なら、収穫した野菜が市価、もしくはその場で食べた料理の価格が、その金額以上にならなければ「損をした」と思ってしまう。「体験」に金銭が発生することに理解はしても、納得はしてくれない。「こんなに楽しかったのに、こんなに安いの!?」と驚かれるほどの価格設定にしなければ、「また来たい」とは思ってもらえないものだ。
滞在型観光でもっとも人気の高い飲食系工場見学は、参加者に無料で工場見学、無料かもしくはごく低価格で試飲・試食をしてもらい、土産購入や宣伝効果で収支を賄っている。「酒蔵ツーリズム」は観光庁も力を入れている。壱岐も焼酎蔵元は無料試飲を行っているし、今年3月に実施した「七蔵めぐり」はこのタイプと言える。
ごっとり市場もせっかく体験モニターを実施しているのだから、参加者に「この体験がどの程度の価格なら自分でも応募するのか、すごく満足した気分になるのか」という点をモニタリングして、オプション価格設定、ツアー料金の算出に役立てる工夫が求められる。

関連記事

  1. 市庁舎建設、諮問手順に疑問も
  2. アイデア勝負のふるさと納税
  3. 観光客の立場に立ったブランを
  4. 情報公開嫌がる行政の不思議
  5. J1昇格V・ファーレンの今後。
  6. 社説・大谷グラウンドの全天候化を
  7. 社説 イルカパーク運営見直しの好機
  8. 商店街再生の手法~福岡教授の講演②

おすすめ記事

  1. ウニや海藻の生態、ホンモノで学び 公民館教室で初の海洋教室
  2. 世界とKANPAIフェス 壱岐焼酎産地指定30周年記念
  3. 俳句ポストに約1400句 壱岐文化協会が特選作品を表彰

歴史・自然

PAGE TOP