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自治基本条例素案を答申。地域コミュニティづくりに効力、今年度中に条例制定へ。

壱岐市自治基本条例審議会(会長・山口純哉長崎大学経済学部准教授、30人)は22日、白川博一市長に壱岐市自治基本条例の素案を答申した。平成26年11月の諮問から4年、計10回の審議会と3回のワーキンググループによる検討会を経て、ようやく素案がまとまった。市は答申を検討のうえ、遅くても来年3月までに条例案を市議会に上程する。同条例(まちづくり基本条例などを含む)は全国1741の自治体のうち、現在までに約400自治体で制定されており、県内では平成24年12月に対馬市、27年12月に長崎市が制定している。

住民自治に基づく自治体運営の基本原則、市や市民・団体の権利・義務などを定めた自治基本条例は「自治体の憲法」とも呼ばれており、市政のあらゆる施策や他の条例は、自治基本条例に基づき実施されることになる。山口准教授から答申を受けた白川市長は「まちづくりの素となる極めて重要な条例で、新たな地域コミュニティづくりに欠かせない。いままでは思いはあっても根拠がなかった。公助、共助、自助が補完し合うことが理想だが、地域コミュニティの高齢化で共助が危機的な状況になっている。小学校区単位で新たなコミュニティを作り、地域の課題は地域で解決するという強い自覚で、支え合う地域社会を目指す」と壱岐市特有の住民自治組織の設置に強い意欲を見せた。

素案の第25条(コミュニティ活動に関する組織)には「市長等は、コミュニティ活動を推進するため、新たな組織を設置することができるものとする」と記されている。白川市長は「公民館に加入していないとゴミステーションが利用できなかったり、市からの文書が配布されないなどの例もある。新たなセーフティネットで種々の問題を包括的に解決していきたい」と話した。山口准教授は「公募委員、ワーキンググループ、パブリックコメントなどでもんで、市民目線で、市民の言葉遣いで広い範囲を網羅した。最初から市民が一緒に作り上げたことに意義がある。市の施策は役所がやるという時代ではもうない。考え方を1人1人がよく理解して動かないと、効果は発揮されない。条例制定後は、市には市民への周知を徹底してもらいたい」と要望した。

素案には他にも▽第4条(自治の基本原則)1項 市民、市議会及び市長等は、まちづくりに関する情報を共有するため、公共の福祉に反しない限り、互いに情報提供に努めること▽同4項 市民に対して市議会及び市長等は、市政についてわかりやすく説明すること▽第5条(市民の権利)2項 公共の福祉に反しない範囲での市政運営に関する情報を知る権利、などが記された。市情報公開条例でも同様の記述はあるが、改めて自治基本条例に定められることで、開かれた市政へ向けて、より情報公開の重みが増すことになる。

最大の焦点だった住民投票については、個別型か常設型かで審議会、ワーキンググループでも大きく意見が分かれたが、「必要に応じて住民投票を実施することができるものとする」と抽象的表現で判断を避けた。「実施に当たっては住民間に感情的な対立を生む恐れ、少数意見の取り扱いに慎重さを要すること、多額の費用が掛かること」などの理由から、「住民一人ひとりの意思を確認する必要に迫られた時の最終手段として行う」と解説した。

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