島外の小中学生を対象にした「いきっこ留学生」と、壱岐高校東アジア歴史・中国語コースの「離島留学生」の入市式が8日、壱岐の島ホールで開かれた。昨年9月からスタートしたいきっこ留学の2期生は10人(男3、女7)で、1期生の5人から倍増。名倉真矢さんは米国ワシントン州の中学から、親子留学で芦辺中学2年に編入した。壱岐高校離島留学生は12人(男9、女3)で昨年より1人減少したが、同コースには7人の島内進学者もおり、コースはほぼ定員を満たす人気の高さが続いている。
いきっこ留学には、壱岐市民が里親としてホームステイを受け入れる里親留学、壱岐在住の祖父母など親戚の家から通う孫戻し留学、親とともに移住する親子留学の3タイプがあり、今回の10人のうち里親留学が6人、孫戻し留学が1人、親子留学が2組3人だった。
名倉さんは父レニー・ノリスさんが米国人、母聡美さんが日本人で、生まれた時から米国で生活をしていたが、ノリスさんの救命救急士の仕事が今年6月で定年を迎えることから「定年後は妻の祖国である日本で、子どもを中心に家族揃ってゆったりと過ごしたい」と昨年8月に市教委が実施した体験入学を経験。1週間を過ごした壱岐を、両親、真矢さんともにすっかり気に入ったことで、移住を決意した。
真矢さんは「体験留学の時に、芦辺中の同級生たちみんながいろいろと助けてくれた。優しい人ばかりで本当に楽しい1週間だった。日本で住むならば芦辺中に通いたいと思った。今回、半年ぶりに学校に行ったら、みんなが私のことを覚えていてくれた」と壱岐をすっかり気に入った。親子留学で家族での壱岐移住となるため、編入は6月からとなるが「部活はソフトテニスをやりたい。休みの日には釣りをしたい。昨年来た時に初めて釣りをしたら、小さな魚を釣ることができてすごく楽しかった」と壱岐移住を心待ちにしていた。
大村市から里親留学する置鮎海琴さん(石田中2年)は「親元から離れるのは少し不安もあるけれど、それ以上にすごくワクワクしている。里親先の竹下繁さん宅には、学年は違うけれど4人が一緒に居候するので、楽しくなりそう。中学生で離島に留学するという制度はとても珍しかったので、興味があってぜひ挑戦したくなった」と留学の動機を語った。
昨年度は2学期からの実施だったが5人、今年度は10人と予想を上回るいきっこ留学の人気に、久保田良和教育長は「初めての制度で里親探しなど難しい面もあったが、可能な限り受け入れていこうという対応の結果が、この人数につながった。体験入学や学校見学で、壱岐の学校、住民のことを気に入ってもらえたことが嬉しい。子どもたちにいろいろな体験をさせていきたいという保護者の気持ちに、壱岐の制度と、自然環境が豊かで、古代から他の文化を受け入れてきた壱岐の風土がマッチしたのではないだろうか。責任持ってお子様たちをお預かりする」と話した。
平成15年度からスタートした壱岐高校離島留学には、長崎県本土を含めて1都6県から幅広く留学生が集まり、制度がすっかりと定着してきた。東京・小金井市から入学した菅野真友さんは「自分をステップアップさせたいと思い、国内留学を考えた。他にも候補があったが、昨年8月の体験入学で壱岐の自然と市民の温かさがすっかり気に入って、壱岐高校に決めた。一人っ子なので、親は最初は戸惑っていたが、私の本気度を理解して応援してくれるようになった。壱岐では多くの住民と交流して視野を広げていきたい。中国語を勉強して、中国にも留学してみたい。部活は中学で経験あるバスケットをやりたい」と心を躍らせていた。