壱岐市国境離島新法制定民間会議(川﨑裕司会長)の制度説明会が13日、JA壱岐市本所会議室で開かれ、民間会議の各専門部会代表者、市議会議員など約80人が出席。県庁から里見晋副知事が来島し、新規で50億円の計上が予定されている地域社会維持推進交付金(仮称)の詳細について説明を行った。また、市政策企画課の谷口実課長は、市が取り組んでいる雇用拡充策の進捗状況、新法に関連して創設される市産業支援センター、市ふるさと商社(仮称)の設立スケジュールについて説明し、出席者に協力を求めた。
4月に迫った国境離島新法の施行で、市民が同法を最も身近に感じられる航路・航空路運賃の低廉化について、里見副知事は改めて「4月当初から実施される」と明言した。
航路に関しては、まだ正式な九州郵船の島民割引運賃は発表されていないが、フェリーはJR在来線並みで、限度額まで引き下げた場合は普通運賃から平均40%引き下げ、ジェットフォイルはJR特急指定席並みで同36%引き下げ。航空路はJR新幹線並み(1㌔38円)で、現行住民割引から平均35%の引き下げとなる。
航路、航空路とも国の交付率は55%で、運航事業者負担はない。低廉化の対象は配布資料に、①特定有人国境離島に居住する者②これに準じると市町村長が認める者(離島での移住・定住や継続的来訪を検討する者なとを市町村長が「準住民」と認定し、割引住民運賃まで引き下げることが可能)と明記された。
準住民について白川博一市長は「まだ確定ではないが、仕事などで毎月定期的に来島する者や、元島民の里帰りなどが認められるように、国に強くお願いしたい」と語った。
交流人口拡大のための旅行者の運賃低廉化について里見副知事は「島民、準島民以外の運賃低廉化は、沖縄、奄美でも行われておらず、財政当局が認めていないが、もう1泊してもらうための旅行商品の開発、企画、宣伝などに交付率55%の支援があり、旅行者の実質負担は軽減される。観光業の雇用拡大のためには平日やオフシーズンの来島者を増やすことが重要で、県としても日体大、上智大、南山大などのスポーツ合宿誘致に取り組んでいく」と県もバックアップしていく考えを示した。
雇用拡充のための創業支援(事業費上限6百万円、最長5年間)、事業拡大支援(同1200~1600万円、同)は交付率50%。事業者負担は25%だが、最大3年間の実質無利子の融資が利用できる。
市が昨年12月、市内全戸へ配布したアンケートに40数件の回答があり、現在、市と壱岐振興局によるプロジェクトチームで、事業計画作成のための聞き取り調査を行っている。
谷口課長は「新法施行後の4月から2回程度の公募を行い、事業を選定する。アンケートを提出していない人でも、まだ受け付けているので、市政策企画課、振興局地域づくり推進課に問い合わせて欲しい」と応募を呼びかけた。
起業、創業、経営改善、新商品開発相談などのワンストップ支援拠点となる市産業支援センター(Iki‐Biz)は、センター長公募に391人の応募があり、1次選抜で絞った5人から今月26日の最終面接で1人を決定。スタッフ2人とともに、研修後の8月頃の設立を目指している。
市の産品を通販や大都市圏で販売するための地域商社「市ふるさと商社」(仮称)は4月に任意団体として設立し、8月に社団法人化を目指している。4月に東京で開設される県国境の島売込センター(仮称)、市産業支援センターと密に連携し、事業を展開していく予定だ。
施行まであと1か月半となり、国境離島新法とその活用方法が、徐々にではあるが、そのイメージが具体化されてきた。