社説

「アスパラの島」目指しては。

松浦市が「アジフライの聖地」として売り出している。友田吉泰市長が今年4月に「松浦アジフライ憲章」を掲げ、市はアジフライに特化したガイドブックを作成するなど、観光振興に力を入れている。

松浦市が「アジフライ」にターゲットを絞ったのは、松浦漁港がアジの水揚げ量日本一を誇っているから。日本のどこにでもいると思われているアジだが、その主な生息域は松浦沖の対馬暖流域で、太平洋側に比べて10倍の資源量と言われている。その漁場に最も近いのが松浦魚市場で、年間を通してコンスタントに月1千㌧以上の水揚げがあるのは松浦だけ。ピークは夏場だが、松浦では1年中水揚げがあるため、名物には最適な産品となっている。

市内でアジフライを提供している店が29店舗もあり、揚げ方などそれぞれがこだわりを持っている。アジだけを食べ歩いても飽きないし、アジを目当てに来た観光客はサバ、トラフグ、マグロ、車エビ、カキなど他の海鮮グルメの魅力も知ることになる。「アジフライ」という主軸がぶれずにあることが、波及効果も生んでいる。観光振興策として上手い手法だ。

壱岐にも山ほどのグルメがある。エース格は壱岐牛だろうが、肥育農家はまだ少なく、市内に屠場がないため価格は福岡と変わらず、希少部位もあまりない。全島がまとまって取り組める食材に特化したグルメを開発すべきではないか。

農産物ならアスパラガスが最適だろう。堆肥を使った循環型農業の代表作物だし、SDGsの一環としてアスパラ栽培に先端技術を導入する実証実験が進められており、実用化されればその栽培方法自体が名物に成り得る。アスパラギン酸の健康効果も注目されている。

アスパラには数多くの品種があるので、様々な品種を栽培したり、市民が考案したアスパラ料理を募集してコンテストを開き、入賞作品を飲食店で提供するなどの方法も考えられる。松浦市に負けない取り組みを期待したい。

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