社説

イルカ以外の魅力探求を。

リニューアルオープンしたばかりの壱岐イルカパークで3日、イルカ1頭が死亡した。外傷、誤飲をした形跡はなく、現在、詳しい病理検査をしている。悲しい出来事ではあったが、生き物を飼っている限り、このようなことは日常的に起こりうることだ。

水族館では、2010年に新潟県のマリンピア日本海の日本最大級の大水槽で、イワシなど40種類8千匹の魚が全滅した。水を消毒するための投薬の直後に起こったが、詳しい原因は判っていない。14~15年には東京・葛西臨海水族園でクロマグロが次々に死亡し、ほぼ全滅した。ウイルス感染が原因で方向感覚を失い、壁に激突したことが原因だと言われている。17年には横浜・八景島シーパラダイスで深海生物が大量死、東京・サンシャイン水族館でも大水槽の魚が大量死した。動物園でも、札幌・円山動物園では15年にコツメカワウソ、マレーグマ、グラントシマウマ、マサイキリンなどが様々な原因で相次ぎ死亡した。英国のサウスレークス・サファリ動物園では4年間に5百匹が死亡したこともあった。

管理不備が原因と非難されることもあるが、ペットと違って野生動物を飼育するということは、まだ判らないことだらけで、何が起こっても不思議ではない。水族館、動物園は運営リスクの高いアミューズメント施設だと言えるだろう。

壱岐イルカパークは、これまでのイルカだけに頼っていた運営から、飲食提供や串山キャンプ場を含めた総合レジャー施設として生まれ変わり、イルカへの負担を減らそうとしている。その方針は、常にリスクを抱えている動物園・水族館の共通した方向性だと言える。だが5頭いたイルカが4頭になってしまい、新たなイルカの導入は早くても今秋、遅ければ来春になる。それまでの間、イルカ以外の部分で施設の魅力を保つには、現状のサービスではまだ不足している。それは指定管理者だけでなく、市も真剣に考えていかねばならない問題だ。

関連記事

  1. 社説・記事が人生の糧になることも
  2. 「しまとく通貨」で再来島の仕掛けを。
  3. 太陽光発電に民間アイデアを。
  4. XP問題の処理が市PRにも
  5. 沈黙は容認と受け取られる。
  6. 玄海原発の改称を要望。
  7. 人口減少問題が深刻さ増す。
  8. 市から情報発信ないまち協活動

おすすめ記事

  1. 約2千人が詰めかける 結の会バザー祭
  2. 華々しく市総合文化祭 2日間にわたる出演部門ステージ
  3. 船と龍テーマに企画展 国特史指定25周年 原の辻ガイダンス

歴史・自然

PAGE TOP