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国立科学博物館「大哺乳類展2」に壱岐の知能。本市出身、和田直己教授が監修。

壱岐高校出身で山口大学共同獣医学部で獣医生体システム科学分野の研究をしている和田直己教授(61)が、6月16日まで東京・国立科学博物館で開催されている特別展「大哺乳類展2‐みんなの生き残り作戦」の監修を務めている。同展は2010年に開催された「大哺乳類展 陸のなかまたち」の続編となる哺乳類にフォーカスを当てた展覧会で、500点以上のはく製や骨格標本から、哺乳類の生き残り戦略について迫っている。その展示の中枢を担っているのが和田教授らの研究成果で、哺乳動物の「動く(ロコモーション)、食べる、子孫を残す」という3つの内容を中心に、その多様性や自由度、様々な環境に適応する能力を解説している。

展示は「どうしてチーターは地球上で最も速く走れるのか」「イルカの泳ぎは魚と違うのか」「テナガザルが腕を使って素早く木を渡れるのはなぜか」など、哺乳類のロコモーションについて、子どもたちの素朴な疑問に答えている。和田教授は「博物館は形の変わらないもの、動かないものを展示するのが一般的、常識的だが、今回はロコモーションという動物の動きを展示したのが1つの特徴。ロコモーションの中でも、歩く、走る、跳ぶ、泳ぐのが得意な動物を取り上げた。ロコモーションは時間とともに変わるし、すぐに消えてしまう。それを動画、パネル、骨格などで展示した」と紹介した。

ゾウやゴリラの歩き、チーターや馬の走り、ブラックバック(ウシ科の中型の動物)、ガラゴ(サルの仲間)の跳躍、テナガザルの腕渡り、イルカ、ラッコ、アザラシの泳ぎ、コウモリの飛行が順番に、骨格標本、剥製とともに展示されている。すべての動物のロコモーションは、遺伝的、生息場所、体重、食性などによって異なる。動物は移動しなければ生きることができない。「ロコモーションは動物を知るために最も重要なことで、動物園で観察するのは興味深いが、その仕組みは外側からは見えない。ロコモーションによるエネルギーの変化の仕組みなどがこの展示で理解してもらえるように工夫している」と和田教授がこの世界に入るきっかけとなったロコモーションの魅力について語った。

和田教授は、子どもの頃に父親に福岡市動物園に連れて行ってもらった体験などが影響して、壱岐から山口大学獣医学部に進学。ロコモーションを専門にする恩師に出会い、そのメカニズム解明のため、神経の情報伝達を研究しようと大学院は医学部に進んで、神経生理学で博士号を取得した。ロコモーション解析のため、動物の動きを高性能な複数のカメラで撮影し、これをCTスキャンした動物の全身骨格のデータと重ね合わせ、骨、筋肉、重心がどのように作用して運動が行われているか、多数の検体の解剖も行いながら詳しく調べた。調べた動物は250種にも及んでいる。解析の結果、獲物を追うチーターは頭の高さがほぼ一定で、獲物に焦点を合わせ続けられること、テナガザルは枝を渡る時に振り子運動をしており、胸にある重心が放物線を描いていたことなどが判明した。

和田教授は「壱岐の子どもたちにもぜひ展示を観てもらいたいが、科学博物館まで来るのは遠いし、壱岐には動物園もないのでロコモーションを観察する機会も少ないと思う。私自身は離島のハンデなどという自覚がないまま、自分なりに懸命に生きてきたら今になったという計画性のない男だったが、環境の違いは情報量の違いになる。その意味では離島の子どもは不利だと思うが、情報過多の世の中だけで、それを有利さに変えるチャンスはある。少ない情報は私たちに考える時間を提供してくれるものだ」と情報量の少なさが逆に興味を強く持つきっかけになると強調した。

さらに「今はネットで世界中がつながっている。動物の動きが見たければ、ユーチューブでいろいろな動物が観られる。ロコモーションのシステムは、すべて英語になるが、私たちが作ったホームページ(Mammal’s locomotion)でも観られる」と離島でも勉強する意欲があればハンデを克服できることを語った。

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