社説

太陽光発電に民間アイデアを。

玄海原子力発電所が再稼動直後に配管からの蒸気漏れを起こした。幸い、放射能漏れはなかったとのことだが、30㌔圏内に入る壱岐市民にとっては憤りを禁じえない出来事となった。

2月の原子力規制委員会と周辺自治体との意見交換会で更田(ふけた)豊志委員長が「安全神話などない」と言っていた通りのことが起こっている。万が一に備えた避難計画はさらに万全にしなければならないし、避難のための道路・港湾、空港・橋梁などの整備に積極的にならない国の対応には不信感を抱いてしまう。

一方で、再生可能エネルギーの技術開発は日進月歩の進化を見せている。先日、日本経済新聞WEBにハウステンボス・沢田秀雄社長のインタビューが掲載され、ハウステンボス内で新しい太陽光発電技術を開発中であることを語った。沢田社長は「これまで太陽電池はシリコンなどの固い基板の上に実装していたが、ポーランドのベンチャー企業サウル・テクノロジーズに投資して、薄いプラスチックのような基板で安価に大量生産できるようになった。1~2年後に実用化すれば、従来の4分の1程度のコストで太陽光パネルができる。太陽光発電のコストは現在、1キロワットあたり24円程度だが、これが6円程度に下がる」と石油よりも安い発電が近く可能であることを示した。

また「並行して蓄電池も開発中。現在のリチウムイオン蓄電池はレアメタルを使うため高価で発熱しやすく充電の回数にも限界があるが、植物系の原料を使い安価に生産できる植物蓄電池のパイロット工場を建設中。4分の1程度のコストで作れて、発熱や発火の危険がなく、電気を効率よく蓄えられ、しかも充電回数を数倍以上にできる。長崎にその一大工場をつくり、海外に輸出したい」と外部に一切頼ることなく、自前でエネルギー調達を行う計画を進めていることを明らかにした。

民間の意欲を妨げることなく、さらに後押しする施策こそが国に求められている。

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