新市庁舎建設へ向けての動きが活発化する。3月14日に壱岐市庁舎建設検討委員会の答申を受けた市は、答申内容の説明と市民からの意見聴取を目的とした説明会を、同委員会の菊森淳文会長、長岡信一副会長が出席して、26日から島内4か所で順次開催する。市は「建設すべき」との答申を尊重しながらも、建設の是非について市民の意見を聞き取り、今年12月末までに方向性を決定する。
説明会は26日勝本町・かざはや、27日芦辺町・壱岐島開発総合センター、29日郷ノ浦町・壱岐文化ホール、5月6日石田町・農村環境改善センターで、いずれも午後7時から開催。菊森会長らが新庁舎の必要性、基本理念、機能と規模、建設場所、現庁舎の利活用など市庁舎建設基本構想の答申内容について説明を行う。
市は、新庁舎建設を行うことになった場合の合併特例債残高、市財政の今後などについて、問題がないことを示すと同時に、市民から意見を募る。建設の是非についての意見は、この説明会だけでなく、パブリックコメントの募集、アンケートの実施、住民投票などの手法も視野に入れて、市民の総意で今年12月末までに決定する方針。
建設場所については、答申で勝本町の亀石地区、芦辺町の旧那賀中学校跡地付近の2か所が候補として挙げられたが、市の将来にとって極めて大きな事案であること、市民生活への影響も大きいことなどから、この2か所に限定することなく、市民から広く候補地を募集する考え。
建設を行うことが決まった場合は、2015年9月までに場所を決定。その後に基本計画策定に着手し、17年3月までに基本・実施設計をまとめ、合併特例債活用期限である19年3月末までに完成させるスケジュールを立てている。
【記者の目】
新市庁舎建設という市民生活上も、市財政上も、極めて重要な施策について、市の考え方、財政状況などを説明し、市民の意見を真摯に聞き取り、吸い上げることは、必要不可欠な作業だ。
だが市内4か所で行う説明会の日程は、実施5日前になっても市ホームページで発表されていない(回覧があったが、記者宅には17日現在未着)。
市庁舎建設検討委員会・菊森淳文会長は多忙であり、島外在住であるため、スケジュール調整が簡単ではなかったことは理解できなくもないが、遅くても18日までには決定していたはずだ。
説明会には1人でも多くの市民が出席し、市の考え方を理解してもらうこと、多くの意見を出してもらうことが求められているはず。それなのに直前の不親切な日程発表は、市が市民への説明に対して消極的な姿勢である、と見られかねない。
勝本町で開催される26日は勝本市、芦辺町開催の27日は芦辺市と日程が重なっている。市民にも様々な予定があるのだから、できる限り早い時期に、市民が参加しやすい日程を決定し、発表するべきだった。
検討委・菊森会長、長岡副会長が出席することにも疑問がある。確かに説明会の内容は、検討委が答申した基本構想案についてのものだが、同委員会の委員の任期は「市長に答申を行うまで」と規定されており、すでに委員会はその役割を終えている。
答申を受け取った時点で、基本構想案は市側に説明責任が移っているはず。それなのに市民説明会を会長、副会長に委ねることは、まるで「私たちが決めたことではないですから」と、市としての責任を回避しているようにも見えてしまう。
新庁舎建設が市にとって必ず重要な役割を果たすと信じているのなら、市長は胸を張って堂々と受け答えをし、その様子をケーブルテレビ、ラジオ、ユーストリームで生中継するべきだ。
(高瀬 正俊)