一支国博物館の平成25年度入館者実績が5日、発表された。25年4月1日から26年3月31日までの総入館者数は10万2678人で、目標の10万人を辛くも突破。24年度(10万1692人)よりも約1千人増(前年度対比101.0%)となった。目標が11万人に上方修正された新年度の取り組みについて、須藤正人館長に聞いた。
▽目標だった10万人突破の感想は。
須藤 正直、ホッとしています。10万人は必ず実現しないといけない数字でした。私がびびっていると明るさがなくなってしまうので、若いスタッフたちを信じて、任せていました。
▽市は博物館を、壱岐の観光拠点として期待している。
須藤 博物館を観光拠点に、という考え方は、いまは全国でも流行っています。一支国博物館は建設前からそのようなコンセプトでしたので、戸惑いなどはありません。
博物館だから静かに観覧しなくてはいけない、という時代ではありません。うちの博物館はワイワイガヤガヤと楽しんでもらいたい。海水浴帰りに、短パンとゴムぞうりで来てもらいたいのです。
▽常設展入館者数の内訳は、市内が16%、市外が84%。市内の来館者も増やさなければならない。
須藤 子どもたちにも来てもらってはいますが、まだまだ少ない。子供たちが島を離れた時に、「壱岐には素晴らしい博物館があるんだ」と自慢できるような存在になりたい。私はこの博物館を、80%くらいは子どもたちのために作ったつもりでいます。
学問的なことは学会で発表すればいいので、博物館ではとにかく楽しいものを追求して、九州国立博物館のような自由な発想で、斬新な運営していきたいと思っています。
▽有料入館者数は4万9583人で、前年(5万465人)よりもわずかに減少。常設展入館者数は5万1878人で、こちらも前年(5万3744人)より減少となった。
須藤 常設展示の品換えは定期的に行っていますが、弥生時代に特化した展示なので、どうしてもガラリとは変わらない。そこが課題です。また重文指定されると、年間の展示日数が制限されてしまうのも難しい問題で、目玉の金銅製亀形飾金具を常に展示できるわけではありません。レプリカの活用も考えていかないとなりません。
もっとも悩ましいのがオフシーズンですが、今年の12月から来年2月は、山下清画伯のちぎり絵展を企画しています。知名度の高さが集客に結びついてくれれば、と思っています。
▽市は、26年度の目標入場者数を11万人にすると発表した。さらにハードルが高くなる。
須藤 若い人のアイデアを100%受け入れていくことが肝心だと思っています。自由な発想で、この建物を使ってもらいたい。どんな使い方でも「ダメ」とは言わないようにしています。
ゴールデンウィークに、昨年に続いてマグロの解体ショーを行います。最初は、さすがに私も「えっ」と思いましたが、それで驚いているようではダメなのです。博物館は地域振興の拠点でもあるべき。漁船の展示や海女さん文化の紹介なども、今後は考えていきたいですね。
ワークショップも昨年から倍増して、24回行います。壱岐高校美術部などクラブ活動の展示も行いました。何にでも、どんどん利用してもらいたい。それが11万人へとつながっていくと思っています。