昨年12月14日からリニューアル工事のため休園している壱岐イルカパーク(勝本町)が、GW前の4月下旬に営業を再開する。運営は壱岐パークマネジメント株式会社(高田佳岳代表)に委託し(3月議会で指定管理者選定案を上程予定)、市直営から民間主導の営利団体にする。今回リニューアルされるのは建物の改装と生け簀の再編。建物はイルカが泳いでいる姿を室内からも見られるように大きなガラス張りにし、生け簀の様子を映し出すモニター、ランチも食べられるカフェスペース、簡単な仕事が行えるコワーキングスペース、壱岐とイルカの歴史などについて学べる図書スペースなどを設置する。屋外のウッドデッキにはハンモック、ベンチも置く。
観光商工課の中村勇貴さんは「入場者に聞くと、イルカのプレイングタイム以外はすることがない、との声が多かった。イルカへの負担を考えるとプレイングタイムを増やすことは難しく、入場者にゆっくりと過ごしてもらうための施設が必要だった」とリニューアルの目的を話した。またこれまでは入場料200円で年間2万5千人の入場で入場料収入は500万円だったが、維持管理費には3千万円程度がかかっており、年間2500万円程度の赤字だった。入場料金を500円程度に引き上げるとともに、体験メニュー料金収入の増加、カフェ・ランチの売り上げで収益改善をする必要もあった。
イルカパーク再生計画(壱岐島リブートプロジェクト事業)は国の地方創生推進交付金事業を活用して、3年間で事業費1億4千万円を上限に2021年までかけて行われる。今後はイルカ頭数は毎年2頭ずつ増やし、21年度までに計9頭として、イルカの負担を軽減する。今いるオスの「あお」「はじめ」が繁殖年齢に到達する3~4年後を目途に、パーク内での繁殖にも挑戦。パーク内の砂浜箇所で入場者が遊泳・シュノーケリングしながらイルカに触れ合える体験メニューも加える。イルカの背につかまって泳ぐドルフィンスイミングはイルカの負担も大きいが、頭数が増えた段階で実現できるように検討している。パーク内の水質は浚渫工事で改善されているが、底に廃棄物が溜まることで濁って見えるため、有機浮遊物を吸着するカキの養殖、藻場造成、水流改善などで透明度を高める。
また直接イルカとは関係ないが、串山海水浴場をキャンプ場として、イルカパーク窓口でキャンプ用品やバーベキューセットなどを貸し出して、串山一帯を観光地として魅力を高め、収益を上げる事業にも今夏から取り組む。中村さんは「イルカショーなら本土に規模の大きなところが数多くある。差別化を図るためには、壱岐イルカパークの特徴である『人と自然の共生』を前面に押し出していく必要がある。パークは外海に通じた湾内にあるので、その環境を活かしつつ、イルカとの距離の近さをアピールし、イルカについて学べる施設として売り出せば、観光の目玉施設になれるはず」と17年度は2・5万人だった入場者数を、20年度は3・5~4万人、21年度は5万人にする目標を立てている。