猫の移動不妊手術車(スペイカー)が10日に来島し、翌日の11日から19日まで市内の飼い主がいない野良猫115匹に不妊去勢手術を施した。
県の動物殺処分ゼロプロジェクトの一環。手術したのは、西彼杵郡時津町出身の獣医師、笹尾美香さん(35)。現在は千葉県成田市で不妊去勢手術専門の動物病院(スぺイクリニック)を開いている。
笹尾さんはワゴン車に医療機器を搭載した自前の「ニコワゴン」に乗り、6月下旬から上五島、五島、対馬の離島を巡り、各地で申し込みがあった野良猫約180頭に手術を実施してきた。
本市では、保護団体「壱岐島わんにゃんお守り隊299」(松嶋純子代表)のメンバーが協力し、事前に壱岐保健所に申し込みがあった手術が可能な状態を確認した野良猫をニコワゴン近くで待機させた。
手術後は、不妊去勢手術をした目印として耳にV字型の切り込みを入れ、「さくら猫」にして元いた場所へ戻された。
笹尾さんは「この日数では全然話にならないなと正直思った。問題を解決するためには定期的に持続的に手術し、手術する猫がいないようにしなければいけない。猫は(出産して)授乳している段階で、次の妊娠をする。手術ができるということと、手術をしないと次が生まれるということを知ってもらいたい」と話した。
お守り隊299の松嶋代表(50)は「不妊去勢手術を島内でできると猫や人の負担が小さくて助かる。もっとさくら猫が増えて、壱岐の方に興味を持ってもらい、意識が高まってほしい。猫にとって耳の切れ込みは殺処分されない『お守り』で、猫の一生を皆で見守る島になれば」と期待を込めた。