文化・芸術

司馬遼太郎の足跡たどる 一支国博物館がバスツアー

島内の史跡など巡る一支国博物館の「春のうららか歴史探訪バスツアー」が3月30日と31日にあり、両日で合計約百人が参加した。バスツアーは同博物館春の人気企画で、今年は「『街道をゆく』をゆく 司馬遼太郎と壱岐」と題して行われ、須藤正人館長(80)が案内した。
「街道をゆく」は作家、司馬遼太郎(1923~96)の全43巻の紀行文集。司馬氏は昭和52年11月17~18日に13巻「壱岐・対馬の道」の取材で来島。2日目の18日に勝本町教育委員会の職員だった須藤館長(当時は須藤資隆さん、33歳)と公民館で出会い、案内を受けた。
バスツアーでは須藤館長が当時の思い出を交えて、唐人神(石田町)や岳ノ辻展望台、神皇寺跡(勝本町)などの「取材現場」を巡った。
司馬氏と出会った時については「『梟の城』を熟読し、日本で一番会いたい人が表れ、頭が真っ白になった。しどろもどろで『先生ご案内します』とつっかけを履いて海岸通りを歩いた」と当時の思い出を語った。
須藤館長は「司馬先生の歴史観は、歴史は本に書かれていることや博物館に展示されているものだけでなく、現代に生きる人の中にあるもの。壱岐の歴史は人々、空気、土地、自然環境の中で独特の文化が育ち、人々によって守られてきた。胸を張って後世に壱岐の歴史を話してほしい」と語った。
芦辺町から参加した中島左貴さん(71)は「歴史に裏付けられた壱岐を知り感動した。『街道をゆく』はまだ読んでいないので、今日の経験を踏まえてさっそく読みたい」と話した。

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