社説

自動運転バス導入の検討を

2月15日に開かれた市地域公共交通会議で、壱岐交通の路線バス・初山線の運行中止が決まった。昨年9月1か月間の乗車人数は計160人、初山まちづくり協議会がコミュニティバスを運行していることから「代替できる」との判断で運行中止をしたことは、路線バスを利用する初山地区住民などには納得できないだろうが、壱岐交通が赤字を減らすためには仕方がないことかもしれない。
市は地方バス路線維持費として、路線バス運行に伴う実質損失額に対して70%を補助している。つまり壱岐交通の路線バスの赤字分の7割を市が補償していることになる。令和6年度当初予算案には約6千万円を計上している。初山地区のコミュニティバスに対しても運行業務だけで300万円を計上している。税金の使い方を考えると、不適切だと指摘される恐れもある。
だが路線バス存続は、今後の本市にとって大きな問題になるだろう。初山線に限らず、どの路線も乗客は極めて少ない。人口減少を考えると今後も赤字は膨らむ一方だし、2024年問題も相まって運転手不足は全国的な大きな問題だ。コミュニティバスが運行されていない地区でも減便、運行中止の可能性は否定できない。対馬市のように市が赤字分の全額を補填する手もあるが、対馬市では年間1億3千万円もの補助金を出している。本市にそれだけの余裕があるとも思えない。
やはり一刻も早く、自動運転巡回バスの導入を検討すべきではないか。昨年4月から道交法が改正され、公道での巡回サービスが解禁された。各地で実用化に向けた実証実験が行われているが、他地域からの車両の流入がない離島は、運転者や歩行者に対しての注意喚起も十分に行えるので実用化に最適だし、信号機も少ないので自動運転用信号機への変更も他地域より大きな費用にならない。EVにすればSDGsの概念にもマッチしている。観光客の「足」にもなるので、レンタカー不足や宿泊施設の送迎問題の解決にも役立つのではないか。

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