社説

壱岐ならではのグルメを。

2月11日に開催された実業家・堀江貴文さんと、Iki‐Biz森俊介センター長の対談イベント。テーマの「これからの地方の可能性」に関して、堀江さんらしい辛らつな言葉の中にも、大いに共感させられたり、今後の参考になる意見が散見した。とくにグルメに関して「食べ歩いている人が情報を持っている」という言葉が印象的だった。グルメ開発にはよそ者視点が何よりも重要なのだ。

壱岐は食材の宝庫で、何を食べても美味しい。壱岐の名物グルメと言えばまず「ひきとおし」が挙げられる。お客様をおもてなししようという気持ちが込められた、ほっこりとした名物ではあるが、観光客から見ると「名物感」はやや薄く感じられる。出汁となる鶏肉は、壱岐は地鶏の有名な産地ではなく、具材も壱州豆腐以外は壱岐らしさに欠ける。インスタ映えもあまりしない。水炊きは「農山漁村の郷土料理百選」で福岡県の郷土料理に選ばれており、観光客は博多の著名店に足が向いてしまいそうだ。

ウニ、壱岐牛といった高級食材は、堀江さんが指摘したように提供の仕方に工夫があまり見られない。「ウニ丼」「和牛ステーキ」はどこで食べても美味しいので、地元ならではの食べ方、料金、量など特徴がのないと苦しい。壱岐牛は屠場がないため、希少部位があまり提供されていない。マグロに至っては、市内でまず食べることができない。大間や三崎では地元で獲れたマグロが町おこしの名物になっているのに、壱岐のマグロはほぼ東京などの市場に送られてしまう。アスパラの特徴的な料理もあまり見たことがない。

流通が発達し、大都市ならば全国の美味しいものが食べられる時代だが、それでも現地に行って現地の名物を食べることは魅力的な観光素材である。釣りや魚突き(スピアフィッシング)と絡めて炉端料理を提供したり、畑やハウスで収穫体験後の野菜バーベキューなど、体験型観光とも結びつけた壱岐グルメ開発が待たれる。

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