マーケティングとは、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動」を表す。壱岐の観光でいうと、「観光客が欲するサービスを作り、その情報発信をすることで、効果的に集客させるための活動」ということになろうか。
サービスが「売れる」ためには、①観光客のニーズを知る②そのニーズに合わせた、観光客が満足するものを作る③観光客がその存在を知り、入手できる適切な価格で提供される、などのプロセスが必要だ。
九州新幹線の開通によって関西圏から日帰り観光が可能になることをビジネスチャンスと捉えた、熊本県挙げてのプロジェクト。2011年、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」脚本家で、同県天草市出身の小山薫堂さんがアドバイザーに就任したことがきっかけで、ゆるキャラの「くまモン」が誕生する。
デビュー当時のくまモンは痩せていたが、誕生から半年後、熊本県の美味しい食材を食べ過ぎたという設定で、丸みを帯びたフォルムになった。世に広め、話題となるためにストーリーを組み込んだ「プロの仕事」によって、くまモンは全国区となる。『ゆるキャラを利用したマーケティング』の成果なのだ。
9月27日の市議会定例会。ウニをモチーフにしたゆるキャラを2体製作するために約150万円の補正予算案が可決。作る理由として、市観光商工課の神﨑照浩課長は「地域おこし協力隊の合口香菜さんからの提案であり、サポートしたい。あまちゃんブームでもあり、ウニのゆるキャラでくまモンのように商品化も考える」と説明した。
あまちゃんブームだということで合口さんとウニキャラを使う、その発想は理解できる。しかし、市は今まで合口さんの活動を島外に日々発信してきただろうか。現在、市ホームページにはその掲載はなく、あまちゃんブームを活用してきたとは言い難い。また、ウニキャラをくまモンのように商品化する話もストーリーを重視したマーケティングでなければ出来るはずもない。
戦略性のない、安直なウニキャラ製作は税金の無駄遣いとしかいいようがなく、市民はもっと怒るべきだ。