前号で掲載した壱岐SCの県中体連参加登録は、中学スポーツの地域移行に大きな意義ある一歩となった。サッカーに関しては、そもそもこれだけ競技人口が多く人気のあるスポーツが学校部活動から一時的に姿を消していたのが不思議なことで、地域クラブが学校クラブ活動として認められたことで、今後は大幅な部員増加が期待できそうだ。今後は男子ソフトボールや空手も県中体連に登録されるかもしれない。
だが少子化の流れが深刻なため、学校クラブ活動の今後はまだまだ先が見通せない部分がある。現在でも女子ソフトボールの石田、男女バスケットボールの勝本はクラブがない。剣道も勝本、芦辺は団体戦に出場していない。個人競技にしても、本市では各世代で競技人口が最も多い陸上競技部が郷ノ浦にしかないというのも不自然なことだ。市中体連陸上競技の優勝者が「県中総体は球技で出場するので、陸上は出られません」というコメントを毎年のように聞いている。
文化系クラブが郷ノ浦の吹奏楽部だけというのもいびつな構図で、スポーツを苦手にしている生徒が入部できる文化系クラブは各校に1~2は必要なのではないか。壱岐の郷土史や自然を研究できるクラブは中学からあって欲しい。
市教委がクラブ活動の加入を任意にしたのは、地域クラブ移行とは関係ない部分でも、個人の意思を尊重する時代で趣味も多様化しているのだから「帰宅部」を認めるのも当然の策だとは思う。だが、陸上部や文科系クラブの創設、さらに無所属者が増えれば、なおさら団体スポーツ部は成立しにくくなる。
誰もが好きなスポーツや文化を楽しむためには、学校クラブ活動はすべて統合・地域移行しなければならないかもしれない。各中学による対抗戦はできなくなるが、市内4中学が合併される時代もそう遠くない将来に訪れることが予想されるだけに、まずはクラブ活動の合併と地域移行が先行して実施されることも、間違った方向性ではないだろう。