ORC機が不適切な整備のまま運航を続けていた問題は、利用者にとってはまさに驚愕の出来事だった。公共交通機関が安全第一であることは当然だが、その中でも特に航空機は、極めて高い安全性を確保されていなければならない。それなのに発電機のオイル漏れを、整備マニュアルで認めていないキャップで塞いだり、オーバーホール中の発電機と付け替えたり、しかもその詳しい状況を整備担当責任者が会社に報告していなかったりと、命を預かっている航空会社とは到底思えないような管理体制が明らかになった。
ORCのファミリー感覚があふれる接客にはとても好感を持っていた。客室乗務員が手作りしている観光ガイドやうちわなど、搭乗する度にほっこりとした気持ちにさせてもらっていた。それだけに今回の不手際は残念でならない。
一方で、機体の老朽化がこの事件の根底にある。所有する2機はともに製造後17~18年が経過している。航空機の耐用年数は使用期間だけでなく、離発着回数、航行距離など各種要因で決定されるが、2機とも老朽化していることは確かだ。機体故障による欠航は5月だけで3回が報告されており、「コックピット右側サイドウインドウの傷による交換」「対地接近警報装置の不具合」「電波高度計の不具合」などが相次いだ。これまでの故障は2機ともに頻繁に起こっている。
今年度中に1機が更新される計画だが、導入されるのは中古機体であるし、もう1機の更新についてはまだ何も決まっていない。同型機はすでに製造中止になっており、故障の際の部品交換も今後は不安な部分も出てくるだろう。
本市が要望している滑走路の延長は、費用面で中村法道県知事がなかなか首を縦に振らないし、国が構想しているATR社の機材導入もパイロットや整備士の養成に多くの費用と時間がかかる。だが、壱岐の航空路を守るためにはどちらか一方に、迅速に突き進まなければ間に合わない。