県埋蔵文化財センターはこのほど、本年度発掘調査現地説明会を原の辻遺跡北側の閨繰(みやくり)地区近くの調査現場で開いた。
市民約30人が参加。 同センターは原の辻遺跡の調査を毎年実施しており、本年度は過去の調査で弥生時代の墓域が存在が分かっている場所周辺の状況を解明する目的で、幡鉾川の北側を調査。2つの調査区(約3百平方㍍)を設けて11月から発掘調査してきた。
説明会では、調査した白石渓冴主任文化財保護主事(以下、白石主事)らが説明。弥生時代よりさらに1万年以上前の旧石器時代から平安・鎌倉時代までの遺物が出土したことなどを説明した。
調査区の一つでは、鎌倉時代のものと見られる椀状の土器が重なった状態で見つかった。白石主事は「袋のようなものに椀を重ねて入れた可能性がある。地鎮祭のようなことが行われたのでは」と見ている。また、甕棺の底部分も見つかった。
一方、もう一つの調査区では弥生土器を多く含む溝の跡が確認され、当時の生活空間が近くにあったものと推定されている。この調査区でも甕が見つかっているが、いずれも掘削によって削られた状態で見つかっており、なぜ削られたのか今後の研究課題となっている。
そのほか、調査区からは黒曜石が多数見つかり、矢じりの形をしたものから、加工する前の原石もあり、物を加工する場所であった可能性が指摘されている。また、中国から持ち込まれたと見られる青磁や江戸時代以前の瓦の破片などが見つかり、参加者は写真を撮るなどして熱心に観察していた。