一支国じんけんフェスティバル(市など主催)が5日、芦辺町、壱岐島開発総合センターであり、元日本テレビアナウンサーで、現在は記者として人権問題を中心に取材、執筆している藪本雅子さん(54)が講演した。
藪本さんはテレビ局のアナウンサー時代にハンセン病問題を取材したのをきっかけに、報道局の記者へ転向。以降、退職した後もハンセン病問題や人権問題を取材している。
ハンセン病は、らい菌による皮膚や末梢神経を侵す感染症で、「らい予防法」(平成8年廃止)による隔離政策により、患者やその家族が偏見や差別の対象とされてきた。ハンセン病は感染力が弱く、現在では治療法が確立されている。
藪本さんは「ハンセン病とコロナは感染力が違うため、同列に話してはいけない」としながらも、「住所を割り出して引っ越しを余儀なくされた人もいる。いじわるな人ではなく、正義感が強い人が差別をしてしまう。共同体を守りたいという意識が強い人が差別をする側になるのは怖いと思った」と話した。
その上で、「差別的な言動があったら同調するのはやめてほしい。容認し黙認するのは加害者と同じ」と呼びかけた。
フェスティバルではそのほか、橋川綾弓さん(郷ノ浦中3年)と中尾美沙希さん(石田中2年)が人権作文を発表したり、那賀小児童と芦辺中生徒によるアトラクションがあった。那賀小は3、4年生児童19人が皆の良いところを認め合う「ハッピータイム」の取り組みを紹介。最後に「優しい言葉を使う、困っている人を助ける、なんでも前向きにチャレンジするぞ!」と声を上げた。