壱岐の蔵酒造(石橋福太郎代表取締役)は20日、温泉旅館壱岐リトリート海里村上(大田誠一総支配人)と共同開発しているクラフトジンの商品化に向け、関係者でテイスティング会を開き、ボタニカルの割合など話し合った。
コロナ禍による観光客減少に伴い、食材が大量に廃棄されているフードロスの解消を目指し、昨年4月から壱岐産ボタニカルを使った和食に合うジンの開発を進めてきた。
同社などによると、出荷の際にサイズ調整のために切り落としたり、加工に不要な部分として破棄される農産物が多くあり、中でもアスパラガスは不要部分の破棄だけで年間30㌧にのぼるという。
ボタニカルは、ベースとなる焼酎に漬け込む素材で、ジンの味の決め手となる。当初、20数種が候補に挙がっていたが、これまでにハチミツ、モリンガ、アスパラガス、ウニの殻、温泉の結晶、カボス、イチゴ、ダイダイ、ユズなど11種類に絞り込んだ。ジン製造に不可欠なジュニパーベリー以外は全て壱岐産で揃えた。
同社で開いたテイスティング会では、石橋代表のほか、大田総支配人(49)=芦辺町出身=とソムリエの大場裕二さん(40)が、各種ボタニカルを漬けた壱岐焼酎6種の分量を変えながら舌で確認。甘い香りがありながらスパイシーさがある味に仕上げた。
大田支配人は「イメージした味で、いい感じにできていると思う」と太鼓判。大場さんは「ソーダで割るなら天ぷら料理、ロックなら煮付け料理が合うと思う」と話した。
同社は今後、さらに最終調整を加え、5月末頃の商品化を目指している。商品名は「Japanese Iki Craft Gin Kagura」(700㍉㍑)。同酒造のほか、インターネット、百貨店などで販売する予定。