市議会定例会9月会議の一般質問が12、13日の2日間行われ、8議員が登壇した。鵜瀬和博議員は「図書館機能の充実について」のテーマで質問。老朽化が目立つ郷ノ浦図書館を郷ノ浦中心部に移転し、旧壱岐交通ビル問題解決を含む中心市街地再開発計画を、平成32年度から5年間の第3次市総合計画の中に盛り込むべきだと指摘した。これに対し白川博一市長は移転を同計画で協議することを明言した上で、「郷ノ浦市街地活性化の絵を描く必要がある。それは旧壱岐交通ビルの問題解決なくしてはできない。さらに一歩踏み込む」と、長年の懸案となっていた同ビルの取得・解体などにも取り組む方針を示した。
郷ノ浦図書館の建物は武生水地区公民館として昭和54年に建設され、図書館は平成8年に観光会館から移転。16年に2階部分の一部を増築したが、建設後38年が経過しており老朽化が目立っている。鵜瀬議員の質問に対して堀江敬治教育次長は「図書館として建設された建物ではないため、バリアフリー機能はなく、狭あいであるため照明、書棚、閲覧スペースも不足している。耐震改修には費用がかかり、土地も狭あいなため駐車スペースも狭いので、将来的には移転した方が良いと考えている。図書館法に基づき早急に図書館協議会を設置し、整備検討委員会を立ち上げる。移転可能な現有施設があるか調査し、第3次市総合計画で議論したい」と回答した。
鵜瀬議員は「図書室はもちろんのこと、公民館機能を兼ね備えた平戸市図書館のように読み聞かせの会や市民が気軽に集えるホール・会議室を設置したり、武雄市図書館(佐賀県)のように喫茶室を備えたり、買い物ができるようなコミュニティ複合施設を視野に入れてはどうか」と提案。堀江教育次長、白川市長とも「武雄市図書館のような施設は理想」「複合施設を視野に入れて計画したい」と賛同した。その上で鵜瀬議員は「図書館の移転先を含めて、郷ノ浦市街地一帯の再開発、中心市街地活性化計画を早急に策定する必要があるが、そのためには旧壱岐交通ビルの適切管理が必要になる。所有者と辛抱強く交渉し、それでも進まない場合は最終的には市民の安全を考え、条例にあるように解体の行政代執行が必要ではないか」と交通ビル問題に言及した。
白川市長は「(PCB廃棄物の放置で)壱岐保健所からも指導が出ている。外部だけでなく内部にも危険があり、解決に向けて所有者と面談する。だが市が購入するとなった場合、解体と土地代で資産価値以上の価格になることがあるかもしれない。その点を議会には理解してもらいたい」と要望した。郷ノ浦図書館の移転計画をきっかけに、旧壱岐交通ビル解体を含めた郷ノ浦市街地再開発が、第3次市総合計画に盛り込まれることになりそうだ。