壱岐しごとサポートセンター「Iki‐Biz」のセンター長を2017年8月から務めている森俊介さん(35)が20日、壱岐の島ホールで記者会見を開き、4月12日投開票の壱岐市長選に無所属で出馬の意思があることを明らかにした。森さんは「地元の事業者から“このままでは壱岐がダメになってしまう”と出馬要請を受けた。子どもたちが誇りを持てる町にしたい、壱岐に恩返しをしたいという思いで、立候補を考えるようになった」と動機を語った。市長選には現職の白川博一さん(69)が昨年の市議会定例会12月会議で4選出馬の意思を示しており、立候補予定者は2人となった。他にも一部で出馬を模索する動きが見られる。昨年12月1日時点の市内有権者数は男1万504人、女1万1710人の計2万2214人。
森さんは「Iki‐Bizで壱岐の経済活性化の仕事に携わりながら、市の総合計画など様々な行政プロジェクトにも参加してきた。その中で、市の税金の使い方や事業の動かし方に非効率な点があることが目につき、もったいないと思うことが多々あった」と昨年末までに出馬を決意した経緯を話した。
また「壱岐はもっと良くなる可能性を秘めており、子どもたちが壱岐での生活を誇りに思えるような未来を切り拓いていこうと強く決意した。より良い壱岐を実現していくために、民間企業の経営感覚を取り入れ、ITを活用して効率的な市政運営を行い、市民の暮らしを豊かにする政策を進めていく」と市政運営への意欲を語った。
「もったいない」ことの例としては「使った税金に対して効果の少ない事業が数多く行われている」「壱岐市民の強い地元愛を、意見を聞き、対話を行うことで市政に活かしたい」「優秀な市職員の力を、しがらみを取り払い、力を発揮しやすくする」「壱岐の魅力が島外に知られていない」の4点を挙げた。
その上で「財政健全化条例を制定し、事業には終期を設け、3年間ですべての事業を再検討する」「何にいくら使われているのかをオープンにし、経営者の目で判断する」「市民と行政の二人三脚で課題解決に臨む」「市職員と全員面談を行い、現場の声を拾う」「Iki‐Bizの仕事はメディアで計2千回以上も取り上げられた。その情報発信力を活かし、1次産業のブランド化など壱岐の魅力を伝えていく」と市政への取り組み方についても言及した。
これまで行政経験がない点については「それは確かだが、いまは民間出身の首長が全国で増えている。しがらみがないことを活かしたい。起業家出身者の首長というのは聞いたことがないので、その点は逆に強みにできるかもしれない」と話した。
Iki‐Bizセンター長として森さんを抜擢し、市長選ではライバルとなる白川博一市長に対しては「人口減少など地方が厳しい時代に12年間、市政運営を行ってきたことに対しては敬意を抱いている。SDGsなど新しい取り組みに種をまいてくれた。その種を今度は私が育てていきたい」と話した。
森さんはこの会見前に市役所を訪れ、眞鍋陽晃副市長にIki‐Bizセンター長職の辞表を提出した。辞任の時期は今後、市と協議を行うためまだ決まっていないが、4月5日の市長選告示日までには無職となる。今後は後援会を発足し、2月中旬に郷ノ浦町内に事務所開き。ミニ集会などで支援を広げていく。
▼森俊介さん
1984年、神奈川県相模原市生まれ。早稲田大学人間科学部卒。株式会社リクルートを退社後、大人向け図書館「森の図書室」など2社5事業を立ち上げた。その実績などが買われ、2017年に391人の応募があったIki‐Bizセンター長公募で採用。同年8月から就任し、これまで320社、計1800回近くの相談業務に携わってきた。市政では、市総合計画審議委員、市図書館評議委員を務めている。