県教育委員会は3月末、ホームページに「長崎県小学校プログラミング教育スタートブック」を掲載した。新学習指導要領で、小学校では2020年度からプログラミング教育が必修化されるため、その理解と準備のためのものだ。柴山昌彦文科相は先日の記者会見でプログラミング教育の意義について「自動車など身の周りの多くのものに人工知能(AI)が取り入れられた社会を生き抜くためには、家電や無人自動車が動く仕組みを知る必要がある」と話した。
指導要領では総合学習のほか、理科や算数の項目について具体例を提示。6年生理科では電気の利用について学ぶ単元で、センサーを使って発光ダイオード(LED)の点灯を制御するプログラミングの体験が例示された。トイレに入ると人感センサーで照明が点灯するといった身の回りの仕組みに気づかせるなど、日常生活と結びつけた学習活動を充実させるという。いまや身の周り全てにコンピューターが介在する。子どもたちが「なぜ」「なんで」と保護者に説明を求める機会も、以前より多いかもしれないし、その疑問に保護者が適切に答えられないケースもあるだろう。子どもたちが「プログラミング的思考」を身に付けることは重要に思える。
だが県教委が公開したスタートブックを一読すると、その内容はあまりにも難解だった。例えば小学校5年算数の「正多角形を書く」の実践例では、教師のかかわりとして「正三角形の内角60度に着目し、そのままプログラムするとうまくいかないことから、児童の『あれ、なんで?」を引き出す」と書かれている。保護者はこの解説を理解できるのだろうか。学習は学校だけで行うものではない。少なくとも小学生なら保護者が学習内容を正確に理解しておく必要がある。また離島では、本土のように学習をサポートする塾、講座も少ない。実施前に、保護者が理解できる内容の解説書を、市教委には準備してもらいたい。