人口減少問題に関して、様々な推計が出されている。日本創成会議の人口減少問題検討分科会は、子どもを産む人の大多数を占める「20~39歳の女性人口」は全国896自治体で2010年からの30年間で5割以上減少すると発表した。
壱岐市の同人口は、このままの状況が続けば、10年の2303人から、40年は886人と、61・5%の減少と推測。これは県内13市で6番目に高い数値で、「消滅可能性都市」に含まれている(県内最大の減少率は五島市の75・9%)。
国立社会保障・人口問題研究所は、5年ごとの各市町村の総人口、年少人口(0~14歳)などを推計しており、壱岐市は2035年に総人口1万9307人と2万人を割り込み、年少人口に至っては05年の4773人から、35年は半減以下の2247人まで減少するというデータが示されている。
離島である壱岐市はこれ以上の合併も難しく、人口の減少は本土以上に深刻な「消滅の危機」につながりかねない。市が定住促進、少子化対策を最大の課題として取り組んでいるのは、当然の策である。
だがこのデータだけが独り歩きしている現状には疑問も感じている。
「将来の人口減少を見越して新庁舎の規模を考えるべき」「小学校の統廃合は避けて通れないので、それを見越した新改築を」という意見は、一見、もっともに思える。だが、この推計通りに総人口、出産年齢女性人口、年少人口が減少するということは、県や市の対策はまったく意味のないものであることに他ならない。
推測通りに「消滅」するのであれば、何をやってもすべてが無駄になる。あがく必要もない。だが壱岐市を消滅させないために、人口をこれ以上減らさないために、あらゆる施策を繰り出して、全力で取り組んでいくのだから、市はその成果を信じて、推計データなど無視すれば良い。
壱岐の魅力さを信じ、本気で定住促進に取り組んでいけば、人口減少は必ず阻止できるに違いない。