九州郵船(竹永健二郎社長)は1日、印通寺~唐津東航路に新船「ダイヤモンドいき」(932㌧、旅客定員350人、車両搭載台数43台、航海速力14・8ノット)を就航させた。長崎県の船舶リプレイス事業を活用し、建造費20億3千万円は全額補助金(国費100%)でまかなわれるため、同事業の運賃低廉化措置により通常旅客運賃(片道)を1900円から1520円に2割引きとする(4月末までは燃油調整金150円加算、5~7月は無料)。期間はその割引総額が補助金相当に概ね達するまで継続される。国境離島島民割引料金にはリプレイス割引は適用されないが、4~5月の10連休の後半から夏休みの繁忙期の旅客運賃に割安感が出ること、清潔感あふれる新船への乗船意欲が、本市への観光客増加に効果を発揮しそうだ。
1987年から32年間にわたって主に印通寺~唐津東航路に就航していたフェリーあずさが、3月31日午後8時05分に最後の乗船客を乗せて印通寺港に入港すると、お別れセレモニーが開かれ、その労をねぎらった。替わって1日午前7時50分からは同港でダイヤモンドいきの就航セレモニーが開かれ、白川博一市長、黒﨑勇壱岐振興局長、同船命名者の1人である山崎悠太朗さんらがテープカットを行い、 向井善嗣船長に花束が贈られた。竹永社長は「料金2割引を実施するので、地域と手を携えて、地元経済の発展に寄与したい」、向井船長は「船の名前のダイヤモンドにちなんで、皆さんに輝きを与えられる航海をしたい」と挨拶。本土の高校に進学する生徒など乗船客54人、車7台を乗せた第1便を、七色の紙テープとともに見送った。
老朽化のため退役するフェリーあずさは、683㌧、全長65・7㍍と小型で、984㌧・75・3㍍のエメラルドからつ(2007年就航)に比べて、乗客からは「時化の時に揺れがひどい」「常に振動している」「音がうるさい」などの苦情も多かった。
ダイヤモンドいきは「赤字航路のためランニングコストを重視した」(九州郵船)ため、エメラルドからつよりはやや小型の932㌧・75・7㍍だが、フェリーあずさには未搭載だったスタビライザー(動揺軽減装置)が搭載されるなど、各種の乗り心地改善、操船性能向上が図られている。航海速力、旅客定員、車両搭載台数はフェリーあずさと同規模だが、エレベーター、多目的トイレ、段差解消などバリアフリー化され、船内のエントランス、イス席、じゅうたん席などは壱岐に多く残る日本家屋をイメージした木目調のデザインに一新された。
エメラルドからつとともに、主に印通寺~唐津東航路で就航されるが、ドッグ配船時には壱岐~博多航路でも運航される。白川市長は「揺れが少なく、バリアフリー化された美しい船を建造して頂いた。離島民以外の航路運賃も低廉化されるので、関係機関と連携して観光客誘致にさらに力を入れていきたい」と期待を込めた。