壱岐の特産品の販路拡大などに取り組む一般社団法人壱岐市ふるさと商社(会長・眞鍋陽晃副市長)はこのほど、和食・うどんなどのレストランチェーンを全国展開する株式会社家族亭(本社・大阪市)が1月16日から3月3日まで行っているキャンペーン「九州と壱岐の恵み」に壱岐特産品を食材として提供する契約を締結した。すでに家族亭グループのうち76店舗で壱岐の食材を使用したメニューが提供されているほか、テーブルには壱岐を紹介するパンフレットが置かれるなど、全国で壱岐の食がPRされている。
市ふるさと商社は2017年8月の設立以来、特産品の販路拡大、通販サイト「壱岐なお取り寄せ」でのインターネット販売、プライベートブランド商品の企画・販売を手掛けてきており、今回ビッグな契約を手に入れた。特に首都圏、福岡圏の飲食店へ向けた販路拡大は地道な努力でこれまで約50店舗との契約にこぎつけていたが、今回は約1か月半の期間限定とはいえ、一気に全国76店舗で壱岐食材が提供されるのだから、その宣伝効果は絶大だ。同商社の出口威智郎事務局長は「好評なら次につながる。これまでの経験からも、壱岐の食材は知ってさえもらえれば、必ず高い評価を受けてきたので、今回も絶対に話題になるはず。このキャンペーンを来年も実施してもらえると思っているし、他にも波及していくと信じている」と期待を込めた。
きっかけは、昨年夏に県の紹介で大阪で行ったプレゼンで、出口さん、地域おこし協力隊の中村陽子さんらが積極的な売り込みを行い、11月末に家族亭の5人が来島して生産過程などを視察し、正式に契約が決まった。提供されている食材はアオサ(本尾海産)、カジメ(同)、ゆずこしょう(壱岐ゆず生産組合)、壱岐の塩(なかはら)の4品目。チェーン店であるためキッチンオペレーション(効率良く厨房を運営する方法)を重視し、調理に時間・手間がかからない食材、ある程度のロットが揃う商品が選ばれた。
これらの食材が使用されているメニューは「壱岐産かじめと九州産野菜のネバネバおうどん」(1150円)、「壱岐産あおさのおうどんあご天付き」(1150円)のうどん2種(薬味にゆずこしょう)と、「壱岐と九州のうまかもん膳」(1420円)の中のかじめご飯、あおさ味噌汁、天ぷらにつける塩など。同時に焼酎「壱岐の島・伝匠」(グラス400円)が提供されており、土産として「おあさのり」(650円)も店舗で販売している。ゆずこしょうは初回の出荷が60㌘瓶1400本で、他の商品も定期的に送られている。
出口さんは「家族亭の利用客の大半が女性で、食材の美味しさはもちろん、テーブルに置かれたパンフレットや店舗入口に貼られたポスターで、壱岐に興味を持って旅行をしたいと思ってくれる人も多いはず。単に食材の販路拡大にとどまらず、壱岐全体のPRにつながるのではないか」と波及効果にも期待を膨らませている。
◆家族亭チェーン 「家族亭」「得得」「うどんの詩」など12形態の店舗を、近畿地方を中心に、北海道から中国・四国まで約180店舗を展開している。