市は12日、市消防団長に岩永章元副団長(65=農業、郷ノ浦町在住)を任命し、白川博一市長が委嘱状を手渡した。11日に割石賢明団長(66)が退職願を提出。市長が受理したため、他の副団長13人の推薦で岩永さんが選出された。平成23年5月1日から7年以上にわたって務めてきた団長の職を辞することになった割石前団長の退職理由は「一身上の都合」とされたが、関係者の話によると、経営する建設会社でトラブルが発生したためではないかという。岩永さんは急きょの任命に戸惑いながらも、992人の団員を率いていく覚悟を語った。
割石前団長が、消防団員、市消防本部、市長らに事前の相談なしに、3期目(1期3年)の任期途中で突然に退職願を提出。万が一に備えて1日も欠かすことなく円滑な消防団活動を行うためには、団長不在の期間を作ることがあってはならず、市消防団はすぐに会議を開いて新たな団長を選定し、市長に推薦した。岩永さんは昭和58年5月に市消防団に加入。平成23年から郷ノ浦地区副団長、同29年4月から市消防本部副団長を務めてきた実績がある。
白川市長は「割石前団長の辞任は、まさに青天のへきれき。誰もが驚くことだったが、消防団にとっては団長の不在は許されず、絶大な信頼を受けて推薦された岩永副団長に新団長を発令した。岩永団長は割石前団長の縁の下の力持ちとして、これまでも団の発展に尽くしてきた。経験も長く、団長に最も適任だと考えている。これまで同様に、思う存分、市のために力を発揮してもらいたい」と期待を込めた。
岩永団長は「急なことで戸惑っているが、みんなから『気張ってもらいたい』と頼まれたので、お受けするしかないと思った。仕事を退職して、いまは自宅で農業をしているだけなので、現場にはいつでもすぐに駆けつけることができる。ただ、私一人が気張っても、何もできない。消防本部をはじめ関係機関、団員が一致団結しての協力があってこそ、安全安心な防災が実現する」と協力を呼び掛けた。
今後の方針としては「消防団員の不足、高齢化は全国どこでも問題になっている。若い世代に魅力的な消防団でなければならない。団長も団員も同じ立場で意見を言い合えるような組織にしていく。昔はみんなで酒を飲んで心を通わせたが、いまの若い世代はそういう酒の場を苦手にしている。若い世代が楽しいと思える消防団にしていきたい」と話した。また「市、県職員も、いままで以上に消防団に加入してもらいたい。ウルトラマラソン、サイクルフェスタなどの立哨で市民と交わる機会も多いので、様々な市民の声を聞くこともできるのではないか」と要望した。日本一奪還を目指す消防操法大会については「日本一はもちろん目指したいし、操法は消防の基本だが、団員には家庭がある。それを犠牲にしてまで目指すべきものではないとも思っている。無理は言いたくない」とあくまでも団員の生活を重視した消防団にしていく考えを語った。