社説

もしもの航路問題に備えて。

決して対岸の火事とは言えない出来事だった。上五島町の五島産業汽船が2日、全4航路で突然の運行停止となった問題だ。同社の負債総額は関連会社も含めて21億円にものぼり、近く破産手続きが行われるという。

上五島町の場合、九州商船にも航路があるため、すぐに「生活の足がなくなる」という心配はないし、長崎‐鯛ノ浦航路は別の事業者から事業継続の申し出があるなど、再開される見通しもある。同社の高速船のうち2隻は新上五島町が所有しているため、再開へ向けて比較的スムーズに話が進むかもしれない。だが佐世保‐有川港、佐世保‐福江港(五島市)などが廃止されれば、地元住民はもちろん、観光客にも影響は避けられない。

同様な事態が壱岐市でも起こらないとは限らない。本市の場合、旅客航路はほぼ九州郵船に依存しているし、航空路はANAとの共同運航便ではあるが、ORC1社体制に等しい。九州郵船もORCも、経営的にはかなり厳しい状況が続いている。今後、九州郵船はジェットフォイル2隻の更新、ORCはボンバルディアQ200型機2機の更新が迫っている。五島産業汽船が昨年故障した高速船の修理で資金繰りが悪化したように、更新のための資金投入は大きなリスクもはらんでいる。だからといって安全運航のためには機材更新は避けられない。

ORCを含む離島と本土を結ぶ地域航空会社5社に関しては、国交省の有識者会議が「経営統合を模索すべき」との報告書をまとめているが、JALとANAという大手航空会社の系列を超えるには機材の統一が大きな課題となっており、容易に進むようには思えない。壱岐空港滑走路問題も含めて、予算的にも莫大で、市としては要望を続けるしか方法はないように思える。だが航路に関しては、市が主導的に対策を考えておく必要がある。まずは、この問題に関してこれまでほぼ連携がなかった対馬市航路対策協議会と話し合いの場を持つ必要があるのではないか。

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