社説

クルーズ客船と神社仏閣

syasetsu 九州経済調査協会(福岡市)は10月25日、「外国船クルーズ客船誘致戦略の新展開」と題したリポートを発表し、クルーズ船の受入に官民一体で取り組む港湾整備や寺社仏閣などの観光開発が必要だと訴えた。
長崎や博多などの港には近年、アジア発着のクルーズ船が寄港回数を伸ばしてきたが、昨秋の尖閣諸島国有化以降、寄港は激減している。また、世界のクルーズ市場が鈍化していることから、「今後は世界的な誘致競争に向けた対応が求められる」と指摘している。
リポートではクルーズ船などの大型船に対応した港湾を官民が連携して整備する「官民共同事業」を提言し、港湾の維持・管理はもちろん、「クルーズ船向けの食料品や燃料などを補給する母港にすれば、経済効果は寄港地の5~6倍になる」と記している。
博多湾に寄港する中国客は買い物ツアーを楽しむ傍ら、神社仏閣にも興味を示すことから、「九州・沖縄特有の離島や半島などの自然や城など、日本的なものを組み合わせることで、外国船社に訴求する誘致が可能になる」と観光開発の重要性を説いている。
壱岐は祠(ほこら)を含めると千以上の神社があり、月読神社に至っては伊勢神宮の月読宮、京都松尾神社の月読神社の元宮とされ、神社仏閣の島として他に引けを取らない。ただ壱岐には中国客が買い物をする大型施設がないことや、案内板と連携した多言語による観光地案内など、インバウンドの整備が整ってないことなど、クルーズ船誘致は容易いではない。
また、誘致するには乗客の利便性向上だけではなく、受入側(壱岐島民)にもクルーズに関心をもってもらうことが不可欠であり、その意識を育てることも重要だ。
長崎港が2011年に17回寄港した海外クルーズ船による経済波及効果はおよそ7億4900万円と算出。1回当たりは4400万円だ。長崎市は08年に全国に先駆けて、地元商店街で中国で使用されているキャッシュカード「銀聯(ぎんれん)カード」端末を導入。他にも09年にクルーズの大型化に対応するため岸壁を延伸するなどハード面での整備も進めてきた。
壱岐にクルーズ客船を誘致するような施策も一考の余地はある。

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