白川博一市長は12日、市議会定例会6月会議の行政報告で、2020年に耐用期限を迎えるオリエンタルエアブリッジ(ORC)のQ200型機(定員39人)の後継として検討されているQ400型機を、現在の壱岐空港の1200㍍滑走路で運用する場合、乗客定員74人を27人に制限する必要があるとの検証結果を明らかにした。定員のわずか36%の乗客数で運用することは、民間航空会社としては採算上極めて難しいことが予想されるだけに、空路存続のために滑走路延長へ向けた市、県の早急な対応が求められる。
検証はORCに依頼して行われ、5月24日に最終的な検証結果の報告が市にあった。報告によるとQ400型機を乗客定員74人、貨物室の最大制限重量633㌔を搭載して壱岐空港に就航する場合、必要滑走路延長は現在の1200㍍から300㍍延伸した1500㍍、滑走路幅は現在の30㍍から15㍍拡幅した45㍍、滑走路を含めた着陸帯幅は現在の90㍍から150㍍に変更を行う必要があることが示された。また配置すべき消防車両の数も現在の1台から2台にする必要がある。
空港整備には相当な期間を要するため、ORCは現在の壱岐空港で就航できるQ200型機の中古の機体を選定中だが、この中古機も2023年度までの運航を想定したもので、それ以降は後継機の導入が必要だと考えられている。市は中村法道知事に対して昨年11月、「空路存続は市、市民にとって極めて重要な案件であり、国境離島保全の観点からも空路が途絶えることは我が国にとって憂慮する事態だ」とQ400型の運用が可能となる滑走路の延長を強く要望した。中村知事は「滑走路延長の試算は、海上埋め立ての場合350億円、滑走路を西側にシフトした場合は190億円という膨大な費用が掛かり、費用対効果を考えると現実的ではない。Q400型も搭乗者数を半分に減らせば離着陸できるはずだ」と否定的な見解を述べていた。
白川市長は「航空会社の採算ベースは搭乗率60~65%であり、定員を半分に減らせばいいというものでもない」と反論したが、中村知事は「壱岐路線の搭乗率は6割程度で、平均20人程度。16年の満席は53便だけで、Q400型の半分では(常に満席で)とても座席が足りないという状況にならなければ、費用対効果が生まれない」と厳しい回答に終始していた。だがORCの検証でQ400型機は27席しか使用できないことが明らかになり、当時の論議のハードルはさらに上がったことになる。すでに製造を中止しているQ200型機の中古を導入しても、その耐用年数や部品交換などから運用期限は2023年度の想定から大きく延びることが考えづらく、あと5年程度しか時間は残されていない。白川市長は「市国境離島民間会議委員を中心に壱岐空港整備期成会を設立し、今後、県、市議会、関係機関と協議を進めていく」と報告したが、空路存続の期限は切迫している状況だ。