定年後の中高年シニアが地域に貢献する活動を実践しているNPO法人に“新現役の会”(古賀直樹代表)がある。
定年などで仕事をリタイアしたシニア世代が、今までの会社や組織で培った経験をもとに、地域の問題を解決しながら、仕事として事業化していこうというものだ。
古賀さんは長崎県「UIターン促進事業」の民間アドバイザーを務め、五島を担当していた経緯があり、離島の事情にも詳しい。2007年3月、壱岐で開かれた“新現役フォーラムinいき”では、五島の「田園ミュージアム構想」や「五島モンパルナス化計画」などの事例発表が行われ、壱岐の今後について話し合いが行われている。
09年、“新現役の会”と連携した、九州オリーブ普及協会(同代表)が設立された。「100万本を植え、九州を東洋一のオリーブの島にする」ことを目指し、これまでに九州で約60か所、約3万本近くのオリーブを植栽する実績を挙げている。
数百年以上実をならすオリーブの木が1万本植えられれば、毎年5億円程度の経済効果があるといわれる同事業は、高齢化による耕作放棄地の有効活用や高齢者、障害者などの自立を助ける福祉ビジネスとしても注目される。
古賀さんは「持続可能な地域再生には収入が確保できる事業でなければできない。オリーブ事業は実がなり出すと毎年収穫することができ、その収益を財源にして地域おこしに役立てることができる。事業はオリーブオイルだけでなく、2次加工商品や観光化事業などで幅広く関わることも可能だ」と話した。
コスモ建設(西海市)は竹ノ島で有機栽培したオリーブの実を使い、1月に発売した「CHOCOLATEオリーブチョコレート」が、1週間で300セットを売り上げた。また南島原市の藤原米幸市長は2月28日、耕作放棄地を活かし、特産化を目指すため、定例市議会で「オリーブ栽培の普及に向けた取り組みを推進したい」との考えを示した。
シニア世代が連携し活動する魅力あるオリーブ事業は、若い世代の人たちが再び田舎に戻ってくる可能性があり、地域活性化にも役立ちはしないか。壱岐も参考にしてほしい。