社説

「言論の自由」が暴走してはならない

市議会3月会議の質疑の中で「言論の自由」という言葉が出た。日本国憲法第21条に「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」と定められている。この21条を根拠に「国民の知る権利」が保障され、それが「報道の自由」という言葉にもつながっている。
一方で「言論の自由は絶対的なものではなく、暴力、中傷、名誉毀損、国家転覆、あるいはわいせつを正当化するために使うことはできない。強固な民主主義国においては、暴力を扇動したり、事実に反して他人の評判を傷つけたり、立憲政治の政府を倒したり、下劣な行為を促進しかねない言論を禁止することを正当化するためには、概して、そうした言論がかなり大規模な脅威であることが必要である。また、ほとんどの民主主義国では、人種的または民族的暴力を扇動する言論も禁止している」と民主主義に関する文献で述べられている。
そのバランスが難しいことはヤフーニュースのコメント欄の取り扱いが変わったことにも示されている。例え正しい批判であっても、湯の入れ替えをしていなかった福岡県の温浴施設の社長が自殺したことは、その原因は不明だが、言葉が人の命を奪う可能性があることを改めて考えさせられた。
学校でのいじめなども、いまは暴力よりも言葉による陰湿なものが多くなっていると聞く。1つ1つの言葉に「間違い」はなくても人を傷つけることがあるし、似た言葉が多数浴びせられれば、取り返しのつかない悲劇を呼ぶ恐れもある。
それだけに「言論の自由」「報道の自由」という言葉には、大きな危険性も潜んでいる。正義をむやみに振りかざすのではなく、その言葉を受けた人の気持ち、人権を十分尊重したうえで初めて「自由」が認められると認識すべきだろう。
報道機関の一員として、十分に気を付けて「報道の自由」を貫きたい。

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