財務省は2月19日、1月の原油CIF価格(到着港までの輸送費を含めた価格)の平均が1㌔㍑4万5648円(速報値)だったことを発表した。この価格は九州郵船が定める改定ゾーン金額表で「1ゾーン」(4万4574~4万9573円)に入るため、1月平均価格を基準とする5~7月期は2016年1月以来、2年4か月ぶりに燃料油価格変動調整金(バンカーサーチャージ)が有料になることが濃厚となった。正式には、今月中に開かれる市航路対策協議会で、九州郵船から報告が行われる。
同社が定める「1ゾーン」の調整金(片道)は、フェリーの博多~壱岐が110円、唐津~壱岐が50円、高速船(ジェットフォイル)の博多~壱岐が180円。高速船博多往復で計360円、利用客の負担が増える。ほぼ年間を通して「6ゾーン」(高速船の博多~壱岐往復で2160円増)で推移した2014年は、有人国境離島法による運賃低廉化などがなかった時だけに、離島住民にも観光客にもその調整金が大きな負担になっていた。それに比べれば「1ゾーン」はまだ負担が軽いが、昨年4月に運賃低廉化が実現して1年強で多少でも運賃が高くなることは、離島住民にとっては低廉化の流れに水を差すことになる。ただ、5~7月の調整金の基準となる1月の平均CIF価格は、改定ゾーン金額表では「1ゾーン」に入っているものの、無料ゾーン(4万4573円以下)と約千円程度の差であるため、同社の判断で加算を見送る可能性もゼロではない。
14年5~7月期は、1月平均価格が7万4630円で金額表では7ゾーン(7万4574円以上)だったが、6ゾーンから約百円差だったため、6ゾーンでの運用を決めた経緯がある。当時よりも差は大きいが、2年3か月間も「0ゾーン」が続いていたことが考慮される可能性もある。燃油調整金を加算するかどうかは、今後、同社が正式に決定する。だが、たとえ今回は加算が見送られたとしても、今後も楽観視はできない状況は続く。CIF価格は14年1月の7万4630円をピークに下落傾向が続いていたが、16年2月に2万2479円と底を打って以降はほぼ高騰を続け、今年1月は最安値の2倍を超えた。1月の速報値は、上旬4万5046円、中旬4万5794円、下旬4万5852円と微増が続き、2月上旬は4万6412円まで上がっている。
もっとも観光客が増える8~10月の調整金は4月のCIF平均価格を基準に決定される。今後も原油価格の高騰が続き、8~10月期のゾーンがさらに上がっていくようだと、観光業にも少なからず影響を与えることになりそうだ。