社説

やはり壱岐から五輪選手を。

以前に市議会一般質問で、議員から「壱岐から東京オリンピックを目指す選手を育てる取り組みができないか」と問われた際、久保田良和教育長は「スポーツの世界でトップに立つためには、幼少時からの英才教育が必要ではないか」と回答した。一般的に考えればその回答は間違いとは言えないだろう。大半のトップアスリートは持って生まれた才能に加えて、家庭の全面協力で英才教育も受けている。だが平昌冬季五輪で活躍した日本人選手を見ると、地域の取り組みの重要さも改めて実感させられた。北海道の過疎地域出身者が目立ったからだ。

女子ジャンプ銅・高梨沙羅さんの上川町は人口3700人の酪農業の町で、層雲峡温泉以外に名所はない。高校までは地元のジャンプ少年団で練習をしていたが、その少年団もごく小規模で設備や資金があるわけではないのに、原田雅彦さんに続いて2人目の五輪メダリストを輩出した。同じくジャンプの葛西紀明さんの出身地・下川町は上川町の近くで、人口はさらに少ない3300人程度の林業の町だが、五輪ジャンプ選手はこれまで6人も生んでおり、人口を考えればすごい確率だ。

大活躍だったスピードスケート・高木菜那、美帆さん姉妹の幕別町は壱岐市とほぼ同じ、人口2万7千人の農業の町。こちらも陸上の福島千里さんなど6人の五輪選手を生み、ソフトバンクホークスの一昨年のドラフト2位古谷優人投手もいる。佐藤綾乃さんは牡蠣で有名な人口9千人の漁業の町・厚岸町。上川、下川、幕別、厚岸など北海道在住者でも行ったことがない人が多い。当然、自治体の予算も少なく、裕福な家庭も少ない。菊池彩花さんは長野県だが、南相木村は人口わずか千人だ。

パシュートのメンバーは、個々の能力では明らかにオランダに見劣っていたが、練習の積み重ねで金メダルを獲った。才能だけがすべてではないことを証明した例と言える。東京は間に合わなくても、壱岐から五輪を目指す取り組みがあってもいいのではないか。

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