社説

社説・壱岐郵船の参入は良い緊張関係で

市議会定例会12月会議に提出された壱岐郵船株式会社からの「『壱岐~福岡間の通勤・通学航路』についての要望書」は、今後の壱岐市の航路問題に一石を投じるものとなった。
航路運賃の「JR普通運賃並み低廉化」は、まさに島民にとって悲願である。片道1290円の運賃が実現すれば、島民にとって福岡がより身近になり、交流人口の拡大にも絶大な効果が期待できる。福岡から気軽に海水浴やグルメを楽しむため、多くの観光客が訪れることだろう。
その実現へ向けて大きな期待をかけられていた国境離島新法の国会への提案は、来年1月の通常国会まで持ち越されたことで、来年度からの施行は実質的に不可能になった。その新法にしても、どの程度の規模の予算が付くかは不明であり、新法が制定されたからといってすぐに運賃低廉化が実現するとは限らない。
九州郵船の財務状況を考えれば、いまのままでは運賃値下げは見込めなかっただけに、新しい運航会社の参入によって値下げの方向へ話が進むことは、もちろん大歓迎である。
また「壱岐~福岡間の通勤・通学が可能な運航時間の設定」は、実際には航路を通勤・通学に利用する島民が少なくても、福岡、大阪、東京への会議出席などに便利で、東京日帰り出張も可能になる。指定席化、パソコン・スマホによる予約など様々なサービスについても、競合会社が出現することで推進が図られることだろう。
ただ現実的に考えると、博多~壱岐間のフェリーが6往復12便に増便されると、いまの旅客数では輸送量の供給過多が避けられない。その時に採算が悪化した九州郵船が撤退してしまうような事態になったら、元も子もなくなってしまう。
壱岐郵船は「まだ未決定な重要項目が多い」として具体的な運行計画を発表しているわけではなく、現段階で様々な取り沙汰をするのは早計とは思うが、両運航会社が敵対関係で消耗合戦を繰り返すのではなく、良い意味での緊張関係をもって参入が実現してもらいたいものである。

 

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