敬老の日の18日、本年度市敬老会が市内4会場で開かれた。招待者の対象は市内の70歳以上の人と、本年度中に70歳になる人で計7668人。このうち本年度中に100歳以上となるのは35人(男3、女32)で、最高齢は勝本町の女性(氏名非公表)の107歳。各会場では喜寿(77歳)、米寿(88歳)を迎えた人たちに白川博一市長が褒状を贈呈した。勝本町の市老人ホームでは入所している長嶋ユキノさん(91)、横川コギクさん(89)、岡村フジエさん(87)の3姉妹が仲良く揃って敬老の日を迎えた。
郷ノ浦町敬老会は壱岐の島ホールで開き、喜寿の99人、米寿の87人の名前を読み上げ、喜寿代表の山川和夫さん、米寿代表の松永信男さんに白川市長から褒状が贈られた。
山川さんは「元気に喜寿を迎えられたことが嬉しい。表彰して頂き、これからも頑張ろうという新たな気持ちになった。初山を考える会の会長として、今後も積極的な活動を続けていく」と話した。
白川市長は「皆さんが住み慣れた故郷で、生きがいを持って暮らしていけるように、施策の充実を図っていく」と挨拶。壱岐民謡保存会、大正琴はまゆう会などのアトラクションに続き、郷ノ浦町老人クラブ連合会の立川省司会長の音頭で万歳三唱を行い、閉会した。
市老人ホームの3姉妹は市敬老会には出席せず、ホームの敬老祝賀会で敬老の日を祝った。3人は壱岐郡志原村(現在の石田町久喜触)に11人兄弟で生まれ、ユキノさんが三女、コギクさんが四女、フジエさんが五女で、いずれも2歳違い。妹2人と弟1人の6兄弟が存命している。
ユキノさんは夫を亡くした後も農業を1人で続け、80歳ごろまで民宿の手伝いをし、今年1月に市老人ホームに入所した。コギクさんは郷ノ浦のスナックで裏方の仕事を70歳ごろまで続けたが、夫の死後、独居生活が不安になり平成28年2月に入所。フジエさんは20歳のころから福岡で病院の付添婦などの仕事をし、平成9年から壱岐に戻り石田町でいとこの介護を6年間するなどして、21年10月に入所した。
年長のユキノさんがもっとも遅く入所してきて「本当に偶然。まさか3人揃って同じ老人ホームで暮らすことになるなんて、思ってもみなかった。一緒に暮らすのは75年ぶりくらいかしら」とフジエさんは思わぬ形での再会を喜んだ。
コギクさんは「兄弟が多くいたので、子どもの頃は特に3人だけで仲良くしていた記憶がないが、こうして出会えたのも何かの縁。姉は昔からおとなしくて、妹は昔から賑やか。全然変わらないです」と姉妹の真ん中らしく仲を取り持っている。
ユキノさんは「1人でいるよりも、それは心強いですよ」とおっとりとした笑顔を見せた。
市老人ホームの目良孝二所長は「兄弟2人は他にもいるが、3兄弟が同時に入所しているのは初めてだと思う。他でもあまり例がないのではないか。年齢の近い姉妹だけに、口ではいろいろと遠慮なく言い合っているが、それが自宅のようなリラックスした暮らしにつながっているのかもしれない。3人で助け合いながら、お互いの世話などもしていて、微笑ましいです」と目を細めた。