20日に日産スタジアム(横浜市)で開催された第32回全国小学生陸上競技交流大会(日本陸連主催)に、本市から県代表とし竹下紘夢(ひろむ、渡良5年)、長岡幸奈(盈科6年)の2人が出場。竹下は男子5年百㍍決勝で4位に入る快挙を達成した。女子共通走り幅跳び決勝の長岡は4㍍29で17位だった。
陸上競技のメッカ・日産スタジアムで、壱岐っ子が躍動した。
男子5年百㍍。6月の県予選で大会新記録の13秒43で優勝した竹下は、自信をみなぎらせて全国大会に臨んだ。13秒43の記録は、世界ユース銅メダルなど陸上短距離界の次世代エースとして期待されている永田駿斗(諫早~慶応大)が小学5年時に記録した13秒43を9年ぶりに更新するもので、今大会の同種目に出場する54人の全国の精鋭の中でも3番目にランクされる好記録だった。
竹下は予選を13秒65、準決勝を13秒53と徐々にタイムを短縮して勝ち上がり、決勝に臨んだ。準決勝の記録は全体の9番目だったために、決勝は観客席にもっとも近い不利な第9レーン。それでも好スタートを決めると、先行する中央レーンの選手たちを必死に追った。
ゴール前でやや遅れたものの、決勝線では胸を突き出して、内コースからの追撃をわずか0秒01封じて、4位でゴールした。タイムは県予選でマークした自己ベストには及ばなかったが、準決勝からさらに短縮して13秒49。優勝した工藤翔大(北海道)は13秒28で0秒21及ばなかったが、同選手の自己ベストは13秒08と突出していただけに、大善戦の僅差だった。
竹下は「自己ベストのタイムから、ある程度の自信はあった。3位以内を狙っていたので、4位という結果はとにかく悔しい。それでも日産スタジアムという大舞台で思い切り走れたことは楽しかった。良い経験になったと思う。来年は絶対に3位までに入れるようにしたい」とベスト3に入れなかったことに悔しさをにじませた。
だが練習環境を考えれば、4位でも快挙と言える成績だ。全国大会に出場した大半の小学生は、幼少時から学校や民間クラブで専門的な陸上競技のトレーニングを積んでいる。一方、竹下の場合、陸上短距離の練習は春~秋季に週1回、壱岐ジュニアランナーズでの2~3時間だけ。渡良小ではソフトボールクラブに所属し、学校での陸上練習は駅伝大会や新春マラソンへ向けた長距離が重視されている。
「スターティングブロックもほとんど使ったことがなかったし、タータン(ポリウレタン)のコースも慣れていない」(竹下)という不利もある中での4位は、素質の高さの証明でもあった。
大会当日、スタジアムの大型ビジョンでは、リオ五輪4×百㍍リレーで米国に先着し銀メダルを獲得した日本代表チームの快挙が中継された。15歳になる東京五輪は無理でも、19歳で迎える2024年五輪(開催地未定)へ向けて、夢が広がる快走だった。
女子共通走り幅跳びの長岡も健闘した。県大会でマークした4㍍25は、出場47選手の中で23番目の記録だったが、全国大会でその自己記録を更新する4㍍29を跳んで17位。県大会では6年百㍍でも5位になったスピードがあり、中学入学後も大いに活躍が期待される。
▽男子5年百㍍決勝 ①工藤翔大(北海道)13秒28②稲名功大郎(静岡)13秒31③平川彗(沖縄)13秒38④竹下紘夢(長崎)13秒49⑤中谷郁斗(栃木)13秒50