地域情報

栽培漁業に新たな可能性

syasetsu 先日、仕事で東京へ出掛けた際、回転寿司店や居酒屋で「トラフグ」ののぼりを多く目にした。12~2月はフグの旬。特に次第に大きくなってくる白子は絶品だ。記者は北海道在住の頃に、白子を食べるためだけに大分県臼杵市まで訪れたことがあったほどで、「最後の晩餐は?」と聞かれたら「トラフグの白子焼き」と即答する。
超高級食材であるはずのトラフグが、養殖物であったとしても格安の回転寿司店や居酒屋のメニューに入るとは…。「ニセモノでは!?」と訝しんだが、後で調べてみると、間違いなく本物のトラフグだった。
フグが多くの店で扱われるようになったのは、規制緩和の影響。規制の厳しかった東京都でも一昨年からフグ調理師の免許がなくても、有毒部分を除く処理を行ったフグなら飲食店で提供できるようになった。そのため加工場を設けた業者が増加し、フグが大量に流通するようになったのだ。
価格も大幅に下がった。養殖物でも高価だったのは、フグ調理師免許がないと提供できなかったため、その人件費、希少さによるもので、養殖されている量を考えれば、決して希少なものではなかった。流通量が増えるにしたがって単価も下がり、養殖技術の発展で味の面では天然物に近づいてきている。
その処理済みフグを出荷している大手会社の一つが、平戸市の長崎ファーム。3年前からは本格的な養殖を手掛け、居酒屋などに販路を確保し、取扱量は年々拡大している。ホームページでは一般消費者への直売も行っている。
燃油の高騰、資源の枯渇で、壱岐の漁業は非常に厳しい状況に置かれている。壱岐でフグの養殖、といっても簡単にできることではないだろうが、栽培漁業には大きな可能性があることは確かだ。近畿大学水産研究所ではクロマグロの完全養殖を、水産総合研究センターではウナギの完全養殖をそれぞれ成功させている。一般流通に乗るのはまだ時間がかかるが、夢は広がっている。
昨年、青空知事室で壱岐を訪れた中村法道知事も、栽培漁業の可能性を何度も口にしていた。県の支援も期待できるだけに、壱岐の栽培漁業で何ができるのか、新たな可能性を探る時が来ている。

関連記事

  1. 「鬼は外、福は内」。一支国博物館で節分行事。
  2. 今西さんが最優秀賞。JA県女性部発表。
  3. 2百羽のツル大群が飛来。春告げる北帰行が本格化。
  4. 電子マネーカード販売店と協定 壱岐署がニセ電話詐欺対策
  5. 20、21日に高校総体北九州大会陸上競技 益川がインターハイ目指…
  6. コミュニティバス運行を検討。初山地区まち協設立。
  7. 川内優輝が壱岐で走り初め。歴代最高ハーフ1時間6分35秒。壱岐の…
  8. ねんりんピックまで1年 カウントダウンボード設置

おすすめ記事

  1. 壱岐ブレイブス九州大会へ 江口主将「1試合でも多く勝つ」
  2. 壱岐の子ども2607人 高齢者は9364人、高齢化率40%に
  3. 盛況に郷ノ浦八日市 子どもたちの手にカーネーション

歴史・自然

PAGE TOP