未来都市のタイトルは「壱岐活き対話型社会『壱岐(粋)なSociety5・0』」、モデル事業は「Industry4・0を駆使したスマート6次産業化モデル構築事業」。言葉は難解だが、目標としているのは2030年の壱岐市の将来像であり、「先端技術を積極的に取り入れ、少子高齢化などの社会的課題の解決と、基幹産業である1次産業を中心とした経済発展を両立する。様々な人や情報につながることで、あらゆる課題に対応できるしなやかな社会を作るとともに、一人一人が快適で活躍できる社会を目指す」との説明なら判りやすい。具体的な5つのイメージとして①1次産業へのIT導入②自動運転電気自動車で高齢者の移動サポートと大気汚染の軽減③若者から高齢者まで幅広い交流④風力エネルギーと蓄電化の推進。木質バイオマスや焼酎かすを使った再生可能エネルギーの研究⑤外部から多様な知恵を取り込む、などを挙げている。
1月下旬からアスパラのハウスにセンサーを設置してデータ収集を行う。地域振興課の篠原一生係長は「農業のスマート化(IT化)はトマト、イチゴでは進んでいるが、アスパラは生産者の経験、勘で行っている部分が多い。ハウスごとの収量のデータを10月の収穫まで収集し続けAIで分析し、収量の差をもとに経験や勘の部分を目に見える形にする」と実証実験の第一歩について話した。さらに「データがまとまりフィードバックすれば、労働の負担低下、出荷量の30%増が期待できる。将来的には自動潅水システム、収穫ロボットの導入なども検討していきたい」と将来像を描いた。
ドローンによる収穫物の運搬は、今年の収穫時から実験できる見通し。現在、企業と連携して開発しているドローンは40㌔程度の荷物を運搬可能で、手動による操作であれば現在の法制下でも運転できる。自動運転車は実用化には法改正が必要だが、実証実験は今年からでも可能だ。篠原係長は「ともに2021年からの実用化を目指している。農産加工場の誘致が実現できれば、出荷場に生産物を運び、その残渣を加工場に自動運搬して、スープなどの加工品を作り6次産業化を目指す。自動運転車はバスを実用化できれば、生活弱者救済のための地域公共交通網の整備にも貢献できる」と話した。