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夏の高校野球 壱岐商3回戦

▽3回戦
壱岐商
0020000-2
1510011X-9
海 星
(7回コールド)
1回戦の逆転勝ちに続いて、2回戦も持ち前の粘り強さを見せて接戦を制し3回戦に進んだ壱岐商は、王者・海星と激突した。実績では明らかに相手が上。壱岐商の持ち味である全員野球で挑むしかなかった。
先発は1、2戦の左腕・篠崎から、アンダースローの小島にチェンジした。西岡行人監督は強打・海星打線を意識し、下手からの90㌔台のスローカーブを得意とする変則右腕で、タイミングをずらす作戦だった。
だが、ストライクゾーンを横切っているように見えるスローカーブが、捕手のキャッチングの位置が低くなるためいずれもボール判定されてしまう。仕方がなく投げたストレートを、1回先頭打者に投手強襲安打をされると、スローカーブを見極められて盗塁を許し、犠牲フライで先制点を許してしまった。
攻撃面でもちぐはぐさが出た。1点を追う2回表、四球、犠失、犠打で1死二三塁という絶好のチャンスをつかんだが、サインミスによるスクイズ失敗で好機を潰してしまった。
強豪相手にミスが出ると、すぐに付け込まれる。2回裏、小島が2四死球と二塁打で追加点を許すと、急きょリリーフに立った篠崎も3連続二塁打を浴びた。この回3人目の投手となる宮本が後続を断ったものの、この回計5失点。2回までに0‐6はあまりにも大きな負債となった。
壱岐商は3回、2死満塁のチャンスに4番村田がセンター前に鋭く打ち返す2点タイムリーで4点差に追い上げたが、海星打線は宮本からしぶとく3、6、7回に1点ずつを追加して、7回コールドとなった。
西岡監督は「先発を迷った私の采配ミス。2回戦まで勝ち上がった自分たちの力を信じれば良かったのだが、海星さんが相手ということで、まともに行ったのでは勝てないと思ってしまった」と責任を背負ったが、小島がジャストミートされたのは1本だけで、海星打線のタイミングを狂わすには十分の働きをした。
コールドという結果だけを見れば惨敗でも、ゲーム内容では海星に決して見劣っていなかった。今秋のドラフト会議で高校生ながら上位指名が確実視されている4番平湯に対して3打数無安打と完璧に封じた。昨夏の甲子園でも先発した大会屈指の好投手・石場に対しても1、4回以外はスコアリングポジションにランナーを進めて苦しめた。
宮本主将は「投手として、与えてはいけない追加点を許してしまい、後悔しかないが、海星はやはり格上だった。厳しいボールは見極められて、甘いボールを逃さないのはさすがだと思った。だが、自分たちがきっちりとした野球をやっていけば、互角に戦えるという手応えもあった」と3年間の練習の成果を感じることもできた。
西岡監督も「大会の3試合を通じて、選手は日に日に成長していた。3年生にとっては最後の試合となったが、この経験を今後に生かしてもらいたい」と語った。
3年生13人がこの日で引退し、新チームは2年生2人、1年生10人とメンバーはすっかり入れ替わり、人数的にも厳しくなるが、この大会で見せた「絶対にあきらめない」壱岐商魂は、後輩たちに受け継がれていく。

高校野球(試合前、全員で手をつないで連帯感を深める壱岐商ナイン)

 

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