利用者の気持ちになって考える。これはどんな商売でも成功するための鉄則だ。一流と呼ばれ好調な経営をして企業は、総じて利用者の立場に立ったサービスを徹底している。それは行政でもまったく同じことが言える。
先日、市航路対策協議会が行われた。市が委嘱した委員と航路運航会社が、市民や観光客へのサービスなどについて意見を交換する貴重な場で、今回は九州郵船と燃油サーチャージなどについて話し合われた。5月からの調整金大幅値下げは、特に市民にとって非常に重要な事例で、その点に関しては実りのある会議になった。
だが市民からの「博多のジェットフォイル乗り場が遠い」という意見に対しての討議には不満が残った。九州郵船が「ターミナル近くに乗り場を設置できない理由」を詳しく説明したが、それだけで話は終わってしまった。病院に通うために利用している市民も多いのだから、体の不自由な人のために乗用カートを運航するなど、代替案はいろいろと考えられるはず。一般市民が委員として参加していないため、意見が画一化されている印象を受けた。
先日乗船した博多発夜のフェリーはかなり混雑していた。2等船室は横になれる場所を確保するため、乗客が走って乗船した。だがそのような事情を知らない観光客や、走ることができないお年寄りが、まだ肌寒いデッキのベンチで2時間半を過ごしていた。みんなが詰めればその人たちの場所を確保することができる状況だったが、一般乗客からはなかなか声を掛けにくい。
乗船スタッフに余裕があれば良いが、経費削減で最低限のスタッフで運航をしている。それなら市が募集を始めた「いきいき観光サポーター」にその役割りを担ってもらうのはどうだろうか。会員に腕章を渡して、フェリー乗船時にボランティアをしてもらう。B’z歓迎時にすさまじいおもてなしパワーを見せた壱岐市民なら、ポイントなどなくても協力してくれるはずだ。サービス向上には市民力の発揮が求められている。