第24回全国消防操法大会が8日、東京都江東区の東京臨海広域防災公園で開催され、「ポンプ車の部」「小型ポンプの部」とも24都道府県チームが出場。「ポンプ車の部」の壱岐市消防団・芦辺地区第1分団(百田昌弘分団長)は184・5点をマーク。2位以下を大きく引き離して、同部門では1982年の第8回大会以来32年ぶり2度目の日本一に輝いた。壱岐市消防団としては前回(2012年)の「小型ポンプの部」の石田地区第2分団第3小隊に続いて、2大会連続日本一の快挙達成。長崎県代表の優勝は5回目(うち3回は壱岐市代表)となった。
会場は、常に壱岐市が主役だった。選手団入場は割石賢明消防団長(62)が総括指揮者として先頭で入場。前回小型ポンプ部門の優勝旗返還も行った。そして競技も圧倒的な強さだった。
ポンプ車で9番目に登場した壱岐市消防団は、播磨三吉指揮者(40)の号令の下、一糸の乱れもない迅速な動作とチームワーク、確実な作業で、ホースの接続・延長、火点へ向けての放水を、第1、2線とも規律正しく行った。百田指揮官が「完璧だった」と振り返る操法で、総合得点は184・5点と表示。直前に合同練習をした神奈川県座間市が3番目の登場で175・5点を記録していたが、これを9点も上回る断然の首位に立った。
最大のライバルと目されていたのは、ポンプ車の前回(第22回)覇者・鳥取県江府町。当時は江府町が187点を獲得。185・5点の壱岐市はわずか1・5点及ばずに準優勝で涙を飲んだ。その江府町は終盤の20番目に登場したが、得点は意外と伸び悩んで173点。壱岐市が雪辱を果たした。優秀選手賞にも1番員の村田博城さん(38)と3番員の中村天洋さん(33)が選出された。
百田分団長は「みんなの力です。1月から毎日のように厳しい練習をしてきた選手はもちろん、応援してくださった市民、地域の人たち、支えてくれた家族、仲間、指導してくださった先輩、みんなに感謝します」と壱岐市全体でつかんだ栄冠であることを強調した。
9日夕方のジェットフォイルで帰島したメンバーを、郷ノ浦港で市消防本部職員らが整列し、横断幕と放水で出迎えた。メンバーは優勝旗とメダルを掲げ、笑顔で胸を張った。
場所を文化ホールに移して行われた報告会には消防団員ら約200人が参加。白川博一市長が「会場で応援したが、その得点通りの見事な出来栄えに感動して目が潤んだ。この快挙は壱岐市消防団の新しい歴史の1ページとなり、市民に勇気、励み、誇りを与えてくれた」と栄冠を称えた。
8月8日の県大会では、計測開始前にエンジンストップ、消防用機械器具の落下というアクシデントがあり、大きく減点されなかったことに一部報道で物議を醸した。それだけに割石団長は「県大会の報告会では“優勝報告”はしなかった。今回は胸を張って、大声で優勝を報告する」と感極まり号泣した。
選手らは報告会後、地元の芦辺町に戻り、街中をパレード。多くの市民が街頭で拍手と声援を贈った。