定例県議会の一般質問が2月24日から始まり、その初日に本市選出の山本啓介県議が登壇。4月に施行する国境離島新法への県の取り組みの本気度について、中村法道知事、辻本政美企画振興部長らに厳しく問い質した。山本議員は中村知事から「悲願の国境離島新法を制定してもらったのだから、しっかりと活用し、具体的な成果に結び付ける責務を担っている」との回答を引き出したうえで「人口減少、雇用の場確保に変化がなければ知事の責任、我々の責任であるということを共有できた」と新法に賭ける決意をにじませた。
山本議員は新法を活用した雇用創出へ向けて、県は現在、具体的に何をしているのか質問した。
辻本企画振興部長は「庁内に部局横断型プロジェクトチームを立ち上げ、部員は島に出向いて市町、関係団体と意見交換を行っている。また振興局が中心となり雇用創出・事業拡大を促す組織を立ち上げ、新たな事業の掘り起こし、事業者から提出された案の中身を磨く作業を行っている」と回答した。
だが山本県議は「掘り起しとか、市町に行って促すとか、そういう抽象的な対策の時間はもう過ぎている。質、量、スピード感とも足りないのではないか」と危機感を露わにした。辻本部長は「4月に向けて実施できるように、しっかりと時間軸を持って取り組んでいく」と返答した。
中村知事は、現在までに事業者から上がってきている創業・事業拡大による雇用創出により「1人2人の雇用が多いが、合わせれば新たに380人の雇用拡大の案件となっている」と数字を示したが、山本議員は「雇用拡大は全国の国境離島が取り組んでいることで、予算総額からの取り合いになる。1人2人の雇用では採択は難しいのではないか。もっと大きな雇用を生む事業、すぐには無理でも将来多くの雇用を生む可能性のある事業を、県から提案していくことも必要だ」と指摘した。
若者の島外流出について中村知事は「中学を出て15%、高校卒業すると9割以上が島外に流出している。一度は島を出て生活したいという思いもあるだろうが、一旦島を出ても将来は帰ってくるような地域環境を整えるのが使命」との認識を示した。
一方で「若者のUターンのために雇用拡大はもちろん重要だが、事業主に話を聞くと人材の確保に苦労しているというミスマッチが生じている。企業誘致を行う際にも、人材確保が大きなテーマとなっている。その双方を結びつける場を作ること、雇用主には給与・休暇面などで魅力的な就業環境を整えること、生活の拠点となる宿舎を確保することも重要だ」と話した。
また本県独自の施策として、松川久和文化観光国際部長は「壱岐では神社を自転車で巡り、夜は神楽を見学するプランなどを計画し、観光客がもう1泊をする滞在型観光の推進に取り組んでいる」、中村知事は「交流人口拡大を雇用に結び付けることは大きな可能性があり、日本遺産に登録され、世界遺産の登録を目指していることを、雇用につなげたい」と離島観光の振興に一層力を入れていく考えを語った。