突然の衆院解散に始まった政界の騒動は、民進党の事実上の崩壊と希望の党への合流という、まったく予想されなかった事態に発展した。10日の公示まで、前言を翻しての小池百合子都知事の急転出馬も含め、何が起きるのか、気が抜けない状況が続きそうだ。
政治姿勢の違う民進議員の希望への合流についての賛否が、多くの報道で論じられている。所属する党の都合で自分の考え方を大きく変えてしまうことは、確かに政治家として格好は悪く見える。だが前原誠司代表が会見で語っていた「いくら商品が良くても、お客さんに買ってもらえなければ物は売れない」との言葉もまた、正論に思える。
政党を選ぶ比例区は別だが、小選挙区の場合、候補者が所属する党の信条・姿勢よりも、有権者の願いを叶えてくれる、市民のために一生懸命に汗を流して働いてくれる候補者に当選してもらいたいと思う人が多いのではないか。多くの有権者の要望があるのなら信条も変える、という姿勢は政治家としてある意味当然のようにも思える。候補者が有権者の意見を聞き入れることによって「票が欲しい」と考えることは、少なくとも批判されるようなことではないだろう。
安保法制、憲法改正はともに国としては重要なテーマだろうが、経済不況、高齢化、人口減少などで苦しむ地方の住民にとっては、まずはいまの生活を少しでも良い方向に変えてもらうことを政治に期待している。将来的な原発ゼロよりも、まずは再稼働間近な玄海原発をストップしてもらいたい。消費税増税の使途よりも、安心してすぐに預けることができる保育所の設置を望んでいる。
小選挙区は区割りが改定され、本市の長崎3区には今回から小値賀町が加わった。現在のところ、自民、共産、自由の3人が立候補を予定している。壱岐のためにこれまで何をしてくれてきたのか、これから何をしてくれるのか、そしてできるのか、候補者の声をじっくりと聞いて、投票したい。