本市で初の国体開催となる「長崎がんばらんば国体」成年女子ソフトボール競技会が18~20日、大谷公園ソフトボール球場、ふれあい広場多目的広場で行われた。自転車・ロードレースは台風19号の接近で中止となったが、ソフトボールは期間中、連日の好天に恵まれ、多くの市民が目の前で展開されるトッププレーヤー同士の戦いに酔いしれた。長崎県は1回戦で最強軍団・群馬県と対戦。本市出身の豊永優投手(IPU環太平洋大学4年)が先発し、6回4安打2失点の好投を見せたが、惜しくも1‐2で敗退した。(決勝戦記事、全試合成績は2面に掲載)
▽1回戦
長 崎
0000010-1
000200X-2
群 馬
身長178㌢の豊永が、2~5番に8月のオランダ世界選手権・金メダリストがズラリと並ぶ最強打線の群馬相手に、マウンドで仁王立ちした。
その2~5番の4選手には1安打。ジャストミートされたのは6回中野の中前打1本だけ。持ち前のパワーと地元でマウンドに上がったプライドをぶつけ、群馬打線をわずか4安打にねじ伏せた。
惜しまれるのは0‐0で迎えた4回裏。四球とエラーで1死二、三塁のピンチに、6番中野に対して内角高めに力のあるストレートを思い切り投げ込んだ。当たりはどん詰まりだったが、フラフラと上った打球はレフトとショートの中間に落ちるポテンヒット。先制点を許した。さらに7番大久保に犠飛を打たれて計2失点を喫した。
長崎打線は再三チャンスを作ったが、あと1本が出ない。6回1死二、三塁からワイルドピッチで1点を返したが、後続が投ゴロ、一邪飛。群馬の2倍の6安打を放ったが、三塁走者を4度までも、本塁に返すことができなかった。
それでもナインには笑顔が絶えなかった。豊永は「世界選手権をテレビで観ていたので、最初は緊張で手がブルブル震えていました。でもその打線を相手に、計画通りにひと回りは無失点に抑えられたことは、今後の大きな自信につながりました」と胸を張った。
故郷・壱岐でマウンドに立った充実感にも満ちていた。「壱岐高の時から、この国体で投げることを夢見ていました。それが実現できたことは、本当に幸せです。渡良小の後輩たちが応援に来てくれて、横断幕まで作ってくれた。その後押しがあったから、良いピッチングができたのだと思います」。ゲーム後は1人、渡良小応援団が陣取るライトスタンドまで走って行き、後輩たちに感謝の言葉を掛けた。
渡良ジュニアソフトボールクラブの竹下大貴主将(6年)は「本当にすごかった。キャッチャーの構えたところに、きちんとコントロールされていたのが印象的でした。僕もいつか、国体でプレーしてみたい」と先輩の姿をまぶしそうに見つめていた。
豊永の投球は宇津木妙子日本代表元監督も「体に恵まれているので、球に力がある。みんなパワーに押されて詰まっていた」と絶賛。この大会を最後に監督を引退する竹森聖治監督(59)も「2年連続日本一のチーム相手に、臆することなく投げていた。順調に成長しているのを感じた。おかげで最後に良いゲームができました」と豊永に感謝した。
大学卒業後はNECに就職し、来年から日本リーグ1部に昇格するNECアクセステクニカでソフトボールを続ける予定。2020年東京五輪でソフトボールが復活し、そのマウンドに豊永が立つ歴史的な瞬間を、壱岐市民は目撃できるかもしれない。