県防災航空隊と市消防本部の合同訓練が16日、郷ノ浦町の岳ノ辻山頂付近であり、両機関から24人が参加。県の防災ヘリコプターを使ったけが人の吊り上げ救助を行った。
訓練は、登山客2人が登山道下に滑落し、負傷して動けないと消防に通報があり救急隊が出動。担架での搬送は時間を要することから、防災ヘリを活用して消防隊員を現場に投入する想定で実施された。
防災ヘリが山頂に到着すると、西側駐車場で消防署員2人をケーブルで吊り上げて収容した後、事故現場の山道上空でホバリングしながら署員を降ろした。
ヘリでの吊り上げ訓練に参加した消防士長の平田頌尚さん(33)は「常備消防だけでなく、非常備や航空隊と連携することで患者のより迅速な救助に繋がるので、いい訓練だったと思う。隊員の投入や患者の搬送に時間を要する場合、航空機を使うことで迅速に救出できる。岸壁や磯場のケースでも航空機を使うことがあると思う。訓練を生かしたい」と話した。
県防災航空隊は大村市の防災航空センターに常駐し、県内外の災害や救急搬送に出動している。今年8月の熊本県の大雨災害では、土砂崩れに巻き込まれた70代男性を吊り上げ救助したほか、孤立地域の住民4人を吊り上げ救助し、地上支援隊に引き継いだ。
隊員の一人は、市消防本部から派遣中の本田雄大隊員(33)で、来年3月に3年の任期を終える。訓練ではヘリから降下し、周囲の安全確認や降下する消防署員を支えるなど航空隊と消防本部の円滑な連携を担った。
本田隊員は「8月の熊本県の水害に出動した。九州だけでなく全国で活動していかなくてはならない。地上隊との連携がすごく大事になってくる。来年度、壱岐に帰ってからも航空隊との訓練や連携は深めていきたい」と話した。