劇団未来座・壱岐の第12回定期公演「星になった源三~百姓源三伝記より~」(脚本・高谷信之、演出・堀川真穂)がこのほど、一支国博物館3階多目的ホールで午前・午後の2回開かれた。
ストーリーは、1778年に加須村(現・勝本町)東触で生まれた岩本源三(通称・百姓源三)が、当時の平戸藩の圧政や地方役人の不正による年貢の取り立ての厳しさから農漁民を救うため、第11代将軍徳川家斉に直訴しに江戸へ向かい、機会を伺い10年余りの歳月を過ごし、家斉が出雲大社に巡拝する折、御籠の中に直訴状を投入。すぐに役人に捕らえられ壱岐に移送され処刑された。当時43歳だった。処刑前の引き回しでは、10年以上顔を見ていない娘のハツとの再会があった。処刑の20日後に江戸幕府から源三を江戸に連れてくるように書が届いたが、時すでに遅しだったという悲話。
源三を演じた富山龍一さん(48)は「私と代官・中尾丹弥を演じた竹田雅美さんは、ともに源三と同じ勝本町東触の出身で、この役を演じられたのも何かの縁だと思っている。身近なところにいた偉人の功績を、この芝居を通じて1人でも大きくの人に知ってもらえたら嬉しい。処刑されてしまうという重い結末だが、脚本家、演出家が笑いや明るさも取り入れながら、源三が星になるというストーリーに仕上げてくれた。源三の義侠心を表現できていたら幸いだ」と舞台を振り返った。
【キャスト】富山龍一、竹田雅美、Ray堀川、中島左貴、長岡尚利、小嶺啓二、便利屋ベン、門口奈緒、吉田葉月、町田愛、工藤皇太