一支国博物館の第63回特別企画展沖縄本土復帰50周年「ボクネン展 沖縄の風に吹かれて」が10日から始まった。
沖縄と壱岐、島を吹き抜ける風をコンセプトに沖縄県の伊是名島出身のアーティスト、名嘉睦稔さん(70)の版画を展示している。
作品は、沖縄の雄大な自然や精霊などを描いた34点と、企画展に先駆けて昨年10月下旬に本市で構想を練った新作の「壱岐猿岩」、「壱岐天ヶ原断層の記憶」「壱岐勝本浦星水面」「壱岐鬼の足跡」の計38点。
作品は、木版画を「月桃紙」と呼ばれる和紙にモノクロで刷った後、裏から筆で色を入れる「裏手彩色」と呼ばれる技法で表現されているのが特徴で、木版画のダイナミックな刃の力強さと水彩絵の具の繊細な色使いが一枚の中に表現されている。
瞬間的な感覚を作品に落とし込むため、通常1作品を約30分で彫り上げるが、壱岐のオリジナル作品では、彫り上げた後も時間をかけて丹念に仕上げたという。
名嘉さんは企画展に「多くの感動の内に、島を題材にした作品をいくつか書きました。まずは島の方々に楽しんでいただけたらこの上ない幸いです」とメッセージを寄せた。
同博物館の河合恭典副館長は「島は風が吹きぬける場所で、壱岐は春一番など風が吹くが、沖縄にもいろいろな風があって、風を見て、感じた歴史や自然を作品にされている。壱岐と伊是名に共通点を持っている、壱岐は昔から知っていたが、来てみて思った通りの島だったと感動されたと伺っている。両方の島を感じられる共通点を見出せる作品を選定していただいている。月桃紙とマッチして、ポスターやチラシとは全然違う印象を受けると思うので、ぜひ直接見てもらえれば」と話した。
同展は4月9日まで。一般4百円、高校生以下2百円、未就学児と年間パスポート保持者は無料。同館2階ではレプリカなどの販売も行われている。